県立三条商業高校(遠間春彦校長)で1日、インターネットショッピングモール「楽天市場」を運営する楽天株式会社(三木谷浩史代表取締役会長兼社長・本社:東京都世田谷区)の高校生向け実践型インターネットビジネス授業「楽天IT学校」がスタートした。
楽天IT学校は、インターネットビジネスの可能性を伝えることで、地域での職業選択の幅を広げ、地域を担う次世代の人材を育成しようと、2008年から楽天と全国各地の高校、地元企業が連携して実施。ことし5月までに245校が参加し、卒業生は5,378人を数える。
10周年の節目の今年度は、全国54校、53社の地域と協働して実施し、来年1月に各校から選抜チームを選出し、東京で「楽天IT学校甲子園」を行って成果を発表する。
来年2月の振り返りを含めて月1回のペースで8回、楽天IT学校を開き、楽天市場に地元企業のショッピングページを作成。そのプロセスでネット販売での販売戦略の立案、販売ページ作成による売り場の構築、商品企画、販売を実践しながら学ぶ。
県内では2014年に新発田商業高校で行われており、そこで楽天IT学校を経験した教諭が三条商高に勤務していることもあり、三条商高で実施することになった。
連携する地元企業は楽天市場に出店して12年目になる株式会社シバデン(三ツ谷大社長・燕市中央通3)。シバデンは電動歯ブラシや掃除機などオリジナル家電をネット直販だけで販売している。
参加生徒は総合ビジネス科の3年生35人のクラス。楽天の長谷川まどかさん(26)が講師を務めた。長谷川さんは新潟市江南区出身の入社4年目で、楽天IT学校の講師を務めるのは初めて。楽天のビジネスモデルやネットショップ運営における考え方などについて話した。
商品の価値を伝える情報には、形状や仕様の「Feature」、優れた点の「Advantage」、お客さんが手にするハッピーの「Benefit」の3つのタイプがあり、これを頭文字をとって「FAB」 とした。
さっそく1万3千円のハンガーを売るための「FAB」を生徒から7つのチームに分かれて考えてもらった。次回以降の楽天IT学校では、シバデンが扱う10種類の商品のなからからひとつを各チームが選び、それぞれのショッピングページ作成に取り組み、もっとも良かったチームのショッピングページで楽天IT学校甲子園に出場する。
一方的に講師の話を聞くのではなく、意見交換したり、議論したりしながら進めるワークショップ風なスタイルの進行に生徒は戸惑いながらも、身近なテーマに集中して笑顔で取り組んだ。
五十嵐直人さん(17)は服や靴をネットで買ったことがあり、ネットショッピングに抵抗はないばかりか、「ネットで見出しや説明にひかれた」と実店舗にはない魅力を感じている。楽天IT学校では「FABはちょっと難しかったけど、今度は売る側がどうやっていくのかを学びたい」と話した。
シバデンは大手家電メーカーではないが、楽天ランキングのドライヤー部門で2014年で第1位に輝いている。社長の三ツ谷大さん(43)は「ネットの仕事、デザインの仕事は新潟にないと思い込んでいる人が多い。本当は田舎でも全国相手に仕事ができることを知ってもらいたい」と話していた。