社内研修だけではもったいない講師陣なので燕三条地域の市民大学も兼ねたものにと、キッチン雑貨のオークス株式会社(佐藤俊之代表取締役・三条市島田2)では、社内研修を外部に開放して、名称も遊び心にあふれた「オークスフォード大学」を開校。10日(土)から2018年4月16日(月)まで11回の授業を行う。
社員46人全員と外部受講者が一緒に授業を受ける。10日の第1回は午後2時から3時39分まで三条ものづくり学校で「日本一のアイデアパーソンの作り方」をテーマに開く。講師は村尾隆介氏とオークスの佐藤代表取締役。村尾氏はビジネス書のベストセラー作家で、バイブルと呼ばれる書籍を連発し、日本の中小企業経営者の間にブランド戦略ブームを起こした。
佐藤代表取締役が経営するオークスは、「ちょっとした感動」をテーマにアイデアあふれるユニークなキッチン雑貨を企画、開発し、「ゆびさきトング」、「計量みそマドラー」など大ヒット商品を次々と生み出している。受講者は上履きを持参し、駐車場に限りがあるのでなるべく乗り合いで出掛ける。
第2回以降は毎月第3月曜、月曜が休日の場合はその翌日の午後7時から7時55分まで、リサーチコアで開く。「燕三条をアイデアあふれる街にしよう」と、すべてのテーマに「アイデア」という言葉が入っている。
講師の多くは同社とかかわりのあった人。例えば、第2回講師の東京・合羽橋の人気料理道具専門店「飯田屋」の飯田結太氏は製品開発のアドバイスを受けたことがあり、第3回講師の福本陽子さんには新商品発表のでデモンストレーターやレシピの考案を依頼している。第4回と第10回はオークス社員が講師を務める。
授業料は各回とも千円で、学生は無料。事前に申し込みは必要なく、受講したい人は直接、会場へで出向けばいい。受講者には受講証を発行し、出席するたびにスタンプをひとつ押し、3回受講でオリジナルノート、7回受講でオリジナルバッグ「サコッシュ」をプレゼント。全回受講のプレゼントは検討中だ。
オークスでは、これまでも佐藤代表取締役が講師となって社員教育を行ったことがあるが今回、一流の外部講師に依頼し、シリーズで企画した。ねらいはいくつもある。学生時代は一生懸命、勉強しても社会人になると勉強する機会が少ない。一流企業、成長企業の社員は学び続けてる人が多く、社会人だからこそよりいっそう学び続け、自分を変えるきっかけにしてほしいという。
就職先選びに入社後の教育、研修制度、カリキュラムが重要視されるようになっている。優秀な人材を確保しするため、学生向けにアピールする。もっとも、ことしは2人の採用枠に対して100人もの応募があり、中小企業の多くが頭を悩ませている求人難とは無縁だ。
社員も講師にしたのは、講師となって教える人がいちばん勉強をするからで、担当する社員の成長の助けになる。オークスの行動指針をまとめた「クレド(信条)」があり、そのうちのひとつで地域貢献をうたっている。こうしたさまざまな成果、貢献に期待するという意味では欲張った企画でもある。
佐藤代表取締役は、「燕三条地域は独立心の旺盛な土地柄ですが、新しいことをどんどんやりたいという企業が出ている。そのときにアイデアの出し方、発信の仕方をここでヒントを得てもらい、地域が活性化していくとすごくいい」と期待する。
地域貢献したからといって業績に直結するわけではない。自社製品がメディアで取りあげることでは地域でもトップクラスだが、地元でもそれらの商品が地元企業から生まれていることがあまり知られていない。
ブランディングにも力を入れている。「こういう会社だから次から次へとおもしろい商品が出てくるだねというとらえ方をしてもれるようにしたい」と佐藤代表取締役。ほかの企業が社員をオークスフォード大学に受講させることについても「大歓迎です!」と即答した。問い合わせはオークス(電話:0256-35-1211)へ。