三条市教育委員会は6日、三条市立一ノ木戸小学校で平成29年度第1回「防災教育授業研修会」を開いた。約100人の教育関係者が参加して、洪水と地震災害の防災教育の公開授業と東京大学大学院情報学科の片田敏孝特任教授の講演を聴いた。
平成25(2013)年から市内の小中学校を会場に開いている。今年度は、第1回を一ノ木戸小学校、第2回を併設の第二中学校で11月に開く。
午後2時から保護者参観日にあわせて行い、市内の小中学校教諭や教育委員会、大阪摂津市からの視察など約100人が参加。公開授業では、3年生が「地震災害編」、それ以外の学年で「洪水対策編」の内容で新潟県防災教育プログラムに基づく授業を行った。
1年生の教室では、大雨が降ったときの危険性を知る、大雨が降ったときの身を守るための行動を知る、5年生は、想定を超えた豪雨に遭遇することを想定し、洪水ハザードマップの意味と使い方を知り、洪水に対して日ごろから備えておくことについて考えるなど、各学年ごとのねらいにそって授業が行われ、参加者は各教室を回り、授業の様子を見学した。
講演会では、三条市防災対策総合アドバイザーでもある片田教授が「防災教育は生き方教育」のテーマで講演。片田教授は、最初に毎年起こる気象災害について、豪雨の影響や台風など深刻さの度合いを増していくこと、これからは火山や地震はど地面の下で起こる「地象」も多発することなど、災害の現状について話した。
東日本大震災で、大津波により多くの死者や行方不明者がでるなか、発災前から片田教授の防災教育を受けていた釜石市内の小中学生の生存率は99.8%に達し、「釜石の奇跡」と呼ばれている。その当時、子どもたちがどのような思いで、どのような行動をとったのか、地域とのかかわりなども紹介した。
災いの部分だけ教えて、あまり教育効果は期待できないとした「脅しの防災教育」、「知識の防災教育」、自然の持つ恵と災いというふたつの側面として伝えて、自然と向き合う正しい姿勢を持つことを促す「姿勢の防災教育」の実践について、また、避難の原則や防災をテーマとして上手に使った教育活動についてなど1時間半余りの講演を行い、参加者はメモを取り、熱心に聴いた。