三条仏壇伝統工芸士会(高橋庸三会長)は9日、新たに三条仏壇伝統工芸士に認定された2人に認定証を授与した。これで三条仏壇伝統工芸士は9人となった。
高橋弥一さん(47)=燕市水道町1=が漆塗箔押部門、五十嵐考宏(たかひろ)さん(40)=西蒲区鷲ノ木=が金具部門で認定された。午後6時から三条ロイヤルホテルで授与式と祝賀会を行い、高橋会長からそれぞれに2月25日付けの一般財団法人伝統的工芸品産業振興協会の安藤重良代表理事名の伝統工芸士認定証を手渡した。
高橋さんは昨年で創業80周年になった高三仏具店の三代目で高校卒業後、愛知県名古屋市で修行してから家業に就いた。「伝統工芸士の役割を果たさなければという、ずっしりと重みがある。次世代はなかなかいないが、三条仏壇を発展させていかなければ」と言う。
五十嵐さんが働く石川仏壇店=西蒲区巻乙=は妻の実家で、四代目になる。昨年は鎚起銅器の玉川堂と茶筒でコラボレーションをしている。五十嵐さんは「身が引き締まる思い。伝統工芸士としてそれなりの自覚をもってやっていかなければ」と言い、それぞれ危機感や責任感、使命感を重く受け止めていた。
三条仏壇は1980年に国の伝統的工芸品の指定を受けた。三条仏壇伝統工芸士は現在、2004年に認定を受けた4人と翌05年に認定を受けた3人が受けた7人が活動している。
産地の三条・燕・西蒲仏壇組合(山田貴之理事長)は1980年の設立当初は約35事業者が加盟したが、現在はわずかに8事業者。分業で行われる仏壇の製造を地元だけで行うのが難しくなっていることもあり、今回の2人の三条仏壇伝統工芸士へのチャンレンジを進めてきた。
山田理事長はあいさつで「伝統工芸士は非常に大きな役割を担わされている」、「作り方を教えてと言われたら、こばむことはできません。作り方を聞かれたら開示しなければならない決まりです」と三条仏壇の技を惜しみなく後継者へ受け渡すよう後継者育成への貢献に期待した。