北朝鮮によるミサイル発射が相次ぐなか、燕市内で唯一、柏崎・刈羽原発から30キロ圏内の緊急時防護措置準備区域(UPZ)にある渡部地区で12日、弾道ミサイルを想定した県内初の住民避難訓練が行われ、渡部地区の住民70世帯の215人のうち85人が参加した。
国、県、燕市の共同で避難訓練を実施したもので、あわせて県内11市村でも情報伝達訓練が行われた。
仮想国から弾道ミサイルが発射され、国内に飛来する可能性があると判明したとの想定で午前10時から行った。渡部地区にある4基の防災無線のスピーカーから「ミサイルが発射された模様です。頑丈な建物や地下に避難してください」と呼びかけが流れた。
市では2日に地元で訓練の説明会を開いて住民に自分で判断して安全を確保するよう説明した。それに従ってとくに頑丈な建物のない田んぼで溝切りをしていた住民はコンクリート製の用水路の橋の下や、かつて飼料用のサイロに使っていた円筒形のコンクリートの中に体を丸めて入り、家の中にいた人は窓のない部屋へ移動したり、座布団をかぶったりして身を守った。その後、渡部公会堂に47人が集まって振り返り会を開いた。
市は昨年12月にも独自に原子力災害を想定した避難訓練を実施した。UPZでもあり、弾道ミサイルを想定した住民避難訓練でも同様に屋内待避が中心になることから渡部地区での実施を地元に打診し、快諾を得て実施した。
弾道ミサイルで柏崎・刈羽原発がねらわれたことを想定した訓練について鈴木力市長は、避難の対応は変わると思うが、「いろんな災害に備えて日ごろから住民がどう行動をとるべきかを考える機会をいっぱいもつことが大切」とした。
内閣官房の伊藤敬内閣参事官は振り返り会で住民に対し、「ちゃんと打ち落とせるように防衛省さんが一生懸命に日々やっている」が、万が一、それでも日本に飛んでくる可能性はゼロではなく、「そういったときに皆さんの安全を守るためには皆さんにどういうことが必要なのかご理解をしていただくのが非常に重要」と話した。
これから同様の避難訓練を行う参考にしようと、北海道から九州まで全国の自治体から視察が訪れた。燕市でも9日に山形県で行われた避難訓練を視察している。