野球でバントをしている写真に「下がれ!長打になるぞ。」のキャッチコピー。8月に三条パール金属スタジアムで「三条野球まつり2017」をPRしようと、そんなくすっと笑ってしまうポスターがお目見えした。
昨年、三条パール金属スタジアムで行われたプロ野球ファーム戦と大学サマーリーグで撮影された写真を使い、キャッチコピーを大きく入れて18種類のポスターを作った。5月半ばから三条パール金属スタジアムの廊下の壁などに制作するつど掲示している。
「まさか、始球式でスライダーとは。」とコピーだけで想像が膨らむものもあれば、裏方を写した写真に「みんなが幸せになるアウトがあればって、いつも思うよ。」と気取ったり、観客席の写真に「ここまで来るあなた、本物です。」などいろいろ。つい1点ずつ見入ってしまう。
制作したのは三条市地域おこし協力隊の浜本尚也さん(30)。昨年度、埼玉県川口市出身で三条市下田地区で行われた三条市滞在型職業訓練施設しただ塾に参加。そのまま下田地区に残って4月から地域おこし協力隊となった。
「三条野球まつり2017」として、三条パール金属スタジアムで8月10日から12日まで大学サマーリーグ、19、20日とファーム戦が’行われる。その企画会議に参加した浜本さんが今回のポスターの企画を提案した。ポスターのシリーズは18種類で完結とはせず、今後も追加制作するかもしれない。
大学を卒業して商社で営業職に就いたあと、広告代理店で働き、コピーライターの仕事も手掛けたことがある。その経験を生かし、譲り受けた数百枚の写真のなかから、いい写真を選び、コピーを考えた。大阪の商店街「新世界市場」でコピーライターの呼びかけで制作して話題を呼んだユニークなポスターも意識した。
「何と言われたいのと聞かれたら、コピーライターもやっていますと言いたい」という浜本さんは自称コピーライター。今回は「野球に興味がない人にもおもしろいと思ってもらえる広告」をねらった。
バブル期は花形の職業のひとつだったコピーライターも今は職業として成立しないような状況だ。新潟ではなおさらだが、「新潟はコピーライターの仕事がないのが、逆にチャンスかなと思っている」と浜本さん。地域おこし協力隊は長くても3年間しか続けられないが、その後もできれば新潟でコピーライターの能力を生かせる職業に就きたいと将来の青写真を描いている。