三条市は25日、ことしも7.13水害を教訓にした三条市水害対応マニュアルに基づく水害対応総合防災訓練を行った。
平成16年新潟・福島豪雨災害で五十嵐川の堤防が決壊した7.13水害の翌年から毎年、行っている訓練。消防を含む市職員、消防団、自治会・自主防災組織、民生委員、市民、モデル中学校生徒、国、県、三条署、ライフライン関係機関、介護サービス事業所など幅広い団体が参加した。
これまでと同様に災害の発生時刻や場所、規模などを事前に知らせないブラインド訓練とし、次々と発表される災害情報に対応して自助、共助、公助のそれぞれの立場で水害対応マニュアルに沿った災害応援活動などを行った。前回までと違う点は、そのシナリオを庁外で作成した。
また、今回は次代を担う中学生の防災意識を育んで地域の防災力を高めようと中学生に参加を呼びかけ、下田中学校を除くモデル校6中学校から、中学生計130人余りがボランティアで参加した。
市役所では、国定勇人市長を本部長に災害対策本部・支部の設置や情報伝達などの訓練、三条防災ステーションの信濃川河川敷では消防職員と消防団などが水防活動訓練を行い、あわせて、市内では市民の避難訓練、自治会や関係機関などと市との情報伝達訓練、災害時避難擁護者の避難支援訓練などが同時に進んでいった。
くもり空の下の訓練だったが、「避難準備・高齢者等避難開始」、「避難勧告」と繰り返される防災行政無線の放送やサイレンの音、携帯電話のエリアメールの着信音は、災害の記憶を呼び起こすような怖さも感じさせた。
三条防災ステーションでは、消防職団員や防災活動協力事業所が参加し、救護所設置訓練や救助・水防訓練を行い、訓練場を訪れた国定市長が訓示を行なった。国定市長は、この日の朝は長野県南部で震度5強の地震が発生し、前日から和歌山県で110ミリの雨が降ったことにふれ、「災害はいつ何時やってくるかわからないと実感している。さらに想定している規模でやってくるかもわからない」とし、「日ごろから頑張っていただいている消防団員の皆さま、消防職員の皆さんの訓練の積み重ねが、私たち三条市民一人ひとりの生命財産を守っていく。強い誇りと自信とかけがえのない重厚な精神をもとに、さまざまな水防活動はじめ消防活動にいそしんでほしい」と述べた。
訓練後のインタビューで国定市長は、「毎年、出水期の前に訓練を重ねることは重要だと思っていまして、それぞれ確認するという意味でやった甲斐はあったなと思っています」、「ことしはとくに中学生がボランティア参加してもらえるということで、長い目で見たときの災害に強いまちづくりのステップを踏み出すことができた」と喜んだ。
情報伝達については、今回は外部にシナリオライターを任せたこともあり、予定通りとはいかないが、情報の収集や共有には「かなりの反省するべきところがあった」と振り返った。情報が災害対策本部に届かなかったような点があり、このあとすぐに検証するとし、課題はあったものの「こういう訓練がなければ、気づくこともなかったので、訓練が目的化しない訓練の大切さをあらためて痛感した」と話した。
さらに出水期は公助に一生懸命、頑張りたいとし、「災害は、いちばんは自助、次は共助、最後に公助。自分の命は自分で守るというところを、あらためて徹底してもらえれば」、「災害に強いまちと名実ともに言うことができるのは、自助も共助も公助もそれぞれ最大限に努力して、備えをするというところがすべて」と災害に対応する基本的な考えを強調した。