6月30日の夏越(なごし)の大祓(おおはらい)に向けて越後一之宮「弥彦神社」(永田忠興宮司)では25日から茅(ち)の輪まつりを行っている。参拝者は茅の輪をくぐって無病息災や除災招福を祈っている。
25日に拝殿前斎庭(ゆにわ)に茅の輪を設置した。弥彦村内で採集したチガヤで直径2メートル余りの円を作って立て、両側に竹を飾る。この茅の輪を左回り、右回り、左回りと3度、くぐり抜けることで知らず知らずのうちに過ち犯した罪けがれが祓い清められ、神の加護をいただいて身体健全、厄難消除するとされる。
あわせて御神札授与所で紙で人をかたどった「人形(ひとがた)」とも呼ばれる「大祓式形代(おおはらいしきかたしろ)」を授与しており、人間の身代わりに厄災を引き受けてくれるもので、これに名前を書き、自分の体をなでて息を吹きかけ、袋に入れて納める。また、茅の輪に模した「茅の輪守」を求めることもできる。
30日は午後3時から夏越しの大祓の神事を行い、続いて永田宮司はじめ神職、巫女(みこ)、一般参列者全員で茅の輪くぐりを行う。形代は「唐櫃(からひつ)」と呼ぶ箱に納めて川に流す。
続いて一の鳥居で3人の神官が道饗祭(みちあえさい)を行う。悪いものが入ってこないようにする祭で、三方に供えたしめ縄を氏子に預け、昔の弥彦村の境界だったところにしばる。道饗祭は宮中でも行われるが、全国の神社でも行っているのは珍しいという。
大祓式は年2回、6月と12月の晦日(みそか)に行われ、それぞれそれまで半年間の罪けがれを祓い清める。6月はとくに炎暑を迎え、疫病などが流行する季節でもあり、そうした災厄を逃れるという願いもあった。夏越の大祓には毎年100人から200人の参拝者がある。