燕三条地域の二次交通の利便性を高めようと、道の駅「燕三条地場産業センター」は6月24日、レンタサイクルを導入し、公共交通機関を使った来館者に手軽な移動手段となる自転車を貸し出している。
クロスバイクタイプとカゴ付きのシティサイクルタイプを3台ずつ用意した。レンタサイクルにありがちな目立つ広告サインなどの装飾はない。保険料と希望者用のヘルメット貸し出しも含め、1日500円で午前9時半から午後5時まで貸し出す。冬期間の12月中旬から3月中旬は休止予定で、休館日や積雪、気象状況によっても休むことがある。
事業の開始初日、第1号の利用者は米国・ロサンゼルス在住でアパレル会社を経営するアクセサリーデザイナー橋本功さん(32)。日本の伝統工芸にふれようと国内を旅する。この日は燕三条地場産業センターに立ち寄って初めてレンタサイクルがあると知り、利用した。
行き先は見どころや体力も考えて同センタースタッフと相談し、三条市高安寺、株式会社諏訪田製作所を訪れた。片道40分ほどかかったが、小林知行社長に会って直接、鉄や産地の説明を聞けた。橋本さんは「快適で、お勧めします」とレンタサイクルに大満足。翌日もレンタサイクルで燕市産業史料館に行くと話した。
燕三条地場産業センターは、燕三条地域のビジネスや観光の拠点として来館者数が増えている。上越新幹線の燕三条駅と北陸自動道の三条燕インターと、鉄路と道路の玄関口が近接する全国的にも珍しいアクセスの良さに恵まれているものの、そこから先の二次交通が乏しい。とくに県外から燕三条駅に降り立った来館者から二次交通を求める声が多く聞かれるようになった。
秋に燕三条地域の名だたる工場を開放する「燕三条 工場の祭典」でも燕三条地場産業センターはレンタサイクルの設置場所のひとつとなり、好評。「燕三条の産業や食を楽しんでもらいたい」とレンタサイクルを始めた。
また、7月1日にサイクルステーションを設置した。人気が高まるサイクルツーリズムを支援しようと、北陸「道の駅」連絡会では自転車スタンド、空気入れ、工具などの常備を条件とした「サイクルステーション」設置に取り組んでいる。燕三条地域でもすでに「漢学の里 しただ」や「国上」が設置しており、県内では17番目のサイクルステーションに登録された。
レンタサイクル利用の受け付け、空気入れの貸し出しは燕三条地場産業センター1階のインフォメーションコーナーで行っている。休館日や利用規約など問い合わせも燕三条地場産業センター(電話:0256-32-2311)へ。
Memo
20年以上に前に訪れた米国では、すでに警察官がヘルメットをかぶり、マウンテンバイクのような自転車に乗ってパトロールしていた。駐在さんが無骨な自転車のまたがっている遠い昔のイメージとはまったく違っていた。ヨーロッパでも自転車の流行していると言われ、西欧では日本以上に自転車での移動がポピュラーなのだろう。
考えてみれば弥彦には競輪場があり、弥彦山を自転車で登る新潟ヒルクライムが人気だし、県立吉田高校には自転車競技部もあれば、三条市には県内でも有名スポーツサイクルショップ、スポーツサイクル サカモトがある。広く県央地域ととらえれば、自転車は食い合わせがいいのかもしれない。