7.13水害が起こった日から13年の7月13日夜、三条市かわまち交流拠点施設「三条防災ステーション」内の三条市水防学習館では、防災をもう一度考える日にしようと「7.13キャンドルナイト」を開き、親子など約200人が参加してメモリアルキャンドルを点灯した。
午後7時から芝生の交流広場で開会式を行い、「KIZUNA」の文字の下にハートマーク、その下に「7.13」の文字に並べた713個のキャンドルに参加した子どもたちを中心に点火。あかりの灯ったキャンドルを前に、7.13水害の犠牲者をはじめ、各地で発生する災害の犠牲者の冥福を祈り、黙とうをささげた。
災害の犠牲者の追悼と、水害を機に地域で培われた「きずな・支え合う心」、「やさしさ・思いやり」の大切さを次世代へ語り継ごうと、昨年に続いて2回目の開催。キャンドル点灯と黙とうに続き、館内で7.13水害の映像の上映や非常食の試食を行った。
開会式で、同施設の指定管理者「リオパルクさんじょう」代表の川瀬和敏NPOさんじょう理事長があいさつし、7.13水害は「記憶に残らざるを得ない」、「(水害で)困った人がたくさんいました」と始めた。川瀬理事長は、同水害以来、NPO法人「にいがた災害ボランティアネットワーク」の理事長を今春まで務めており、全国各地の災害支援を行ってきた。そのなかで大切だと感じたのは、「住民同士の心の絆です。家族、地域、遠方の人との心の絆なんです」、「災害こそ、絆を大切にしないと元に戻らない」と話した。
さらに、三条市の防災対策は水害を教訓としてこの13年で進んでいるが、「ハードばかりではなく、ソフト面では市民が進めていかないと、助かる命も助からない」、「災害に対する心構えを、しっかり考えてください」と呼びかけた。
また、今回は、地域貢献活動の一環で高校生でつくるNPO法人「トライフューチャー」メンバーの新潟県央工業高校建築工学科の3年生38人も参加し、キャンドルの文字の設計図の製作やキャンドルを並べる作業などを手伝った。
建設工学科都市防災コースの高橋大和さん(17)=三条市三竹=は、7.13水害当時4歳だったが、「怖くてずっと泣いていた」と記憶は鮮明だ。幼稚園に行ったが、家族が迎えにきて自宅に戻った。自宅は、堤防が決壊した諏訪の対岸の三竹地内で、当初は三竹側が越水するなど危険な状態だった。両親が外に様子を見に行ったときは、1つ下の妹と2人で泣いていた。雨の音や茶色い濁流に流木が流れていたことなど、恐怖の記憶として残っているという。
高橋さんは、この体験もあって防災を学びたいと同コースを選択した。キャンドルを並べながら、「追悼の気持ちとあわせて、参加した人たちに水害の怖さを知ってもらい、防災の知識をつけてもらえるきっかけになれば」と話していた。