ことしで10回目となった「寺子屋つばさ100km徒歩の旅」で、7日に三条市の「いい湯らてい」を出発し、4泊5日をかけて100kmを歩き抜いた小学生81人が11日、弥彦村の弥彦体育館にゴールした。
100kmの前半は台風5号の影響をもろに受けた。初日7日の三条は台風5号によるフェーン現象で三条は観測史上3番目に高い気温38.1度を記録。猛暑との戦いだったが、翌8日は大雨警報が発表され、時折降る強い雨のなかを歩いた。
その後は夏らしい猛暑が戻り、最終日11日は最後の大きな試練、弥彦山登山。三条で最高気温30.8度の真夏日のなか、山頂まで歩き抜き、ロープウエーを使って下山。弥彦公園で休憩、昼食を食べてからゴールの弥彦体育館へ向かった。
82人で出発してから残念ながら1人が足の関節を痛めてリタイアしたが、それ以外は全員が完歩を成し遂げた。ゴール地点では、例年のように班ごとに「最後で最初のい〜っぽ!」、「ここまで歩けたのは学生スタッフのおかげです」、「寺100で学んだ支え合う心を日常生活でも生かしていきます」と声を合わせてメッセージを言ってゴールテープを切った。
ほとんどの家族にとって5日間も子どもと離れて生活するどころか、子どもの情報からも遮断されて過ごすのは初めての経験。保護者は「おかえりなさい」などと書いたうちわや模造紙を掲げたり、「頑張った!」、「かっこいいよ!」と声をかけたりして子どもを迎えた。
親の姿が見えたら緊張の糸が切れて涙が止まらなくなり、泣きじゃくってメッセージを言えなくなる子もいれば、親に抱きかかえられるようにして歩く子も。仕事で3カ月間、海外に滞在してゴールの日になんとか帰国が間に合ったお父さんは、平然とゴールした子どもに「拍子抜けしました」と笑ったが、帰国したら声変わりしていたことにいちばん驚いていた。
子どもたちの心身を支えた学生スタッフも達成感は半端ではなく、涙を浮かべる学生も多かった。なかには子どもにように泣いて、それを心配した子どもが手を握ったり、背中をさすったりと立場が逆転する場面も。子どもたちと保護者はもちろん、学生スタッフ、実行委員に忘れることのできない夏の記憶を刻んで幕を閉じた。