18日から23日まで弥彦村で行われている大相撲・伊勢ヶ浜部屋の夏合宿で19日、弥彦神社相撲場で公開朝稽古(けいこ)が行われた。早朝の豪雨にもかかわらず約700人の相撲ファンが訪れ、力士のけいこのようすを見学。子どもたちは稽古体験で力士の胸を借りた。
公開朝稽古は19日から23日までの毎日、午前8時から10時ころまで行っている。19日は十両の照強と12人の力士がけいこを行ったあと、子どもたちの相撲稽古体験を行った。けいこ前に行われた開催セレモニーは、ゲリラ豪雨のような猛烈な雨に見舞われたが、稽古を始めるとまもなく雨が上がり、同時にうるさいくらいのセミ時雨が響いた。
開催セレモニーで一般社団法人どすこい越後の高橋道映理事長は「伊勢ヶ浜部屋のすばらしい力士たちに声援を送ってもらえればありがたい」、「相撲人気を大いに盛り上げて越後と佐渡を日本一の相撲の王国にしていただれば」とあいさつした。
けいこは四股(しこ)に始まって、すり足、ぶつかり稽古、申し合いなどを行った。力士が立ち合いから体をぶつけ合うと「ごつっ」と聞き慣れない鈍い音が響いた。観客は「おわっ!」と目を見張り、「痛いだろうに」の声も。見ている方が力が入る場面では歓声があがり、決着がつくと大きな拍手でわいた。
公開しているとはいえ、あくまで基本はけいこ。いちばん格上の照強は「足を出せ、足を」、「声がちっちゃい」と活を入れ、力士を呼び寄せて指導する場面もあった。
子どもたちの体験けいこでは、幼児から中学生まで約20人の子どもがひとりずつ土俵に上がって力士の胸を借りた。力士は最後に負けてあげるのがお約束。子どもたちを頭より高く抱きかかえたり、大きな体からは想像できない身のこなしで攻撃をかわしたりして会場をわかせた。
わけがわからず土俵に突っ立ったままの子どももいれば、力士に押された勢いでそのままお母さんの元へ帰ろうとする子ども。一方で力士の背中を取って大きな拍手を受ける子どももいた。
小千谷市に住む片貝小5年浅田晃誠君(10)は、兄の片貝中1年優心君(12)とふたりで稽古体験に参加した。兄は中学へ進学してやめたが、晃誠君が小学3年のころからふたりで小千谷相撲連盟の相撲教室に通っている大の相撲ファンで、好きな関取は東前頭筆頭の正代。ビデオを見て相撲を研究し、ことしの夏休みの宿題は横綱の体格や経歴を調べているくらい熱中している。
7月に両国国技館で開かれた日本相撲協会と東京青年会議所が主催する第33回わんぱく相撲全国大会に新潟県代表として団体戦に出場。そのときに伊勢ヶ浜部屋に宿泊させてもらった。大相撲アオーレ長岡場所でも力士とのけいこを体験している。
今回の力士とのけいこに晃誠君は「強かった。重いからぶつかってもあんまり下がらなかった」と冷静に分析した。晃誠君は否定するが将来の夢はやはり相撲取りのようで、お母さんは「呼び出しでも行司でも、相撲にかかわる仕事につければいい」と話していた。
20日の公開朝稽古は午前8時から10時10時半からヤホール前でFM新潟のステッカーキャンペーンとちゃんこ振る舞いが行われる。夜には旭川場所に参加している日馬富士ら関取が弥彦入りし、21日の公開朝稽古から参加する。