三条市下田地域の活性化に取り組むNPO法人ソーシャルファームさんじょう(柴山昌彦理事長)は、下田地域の上谷地地内に大正2年(1913)に建てられた築100年を超す古民家を移住体験できるゲストハウスとして再生しようと28、29、30の3日間、古民家改修ワークショップを行った。
この古民家は昨年秋に空き家になった。取得して今春から荷物を出すなどして準備してきた。8月から本格的に再生を始め、外部の力も借りようとこの3日間はワークショップとして参加者を募った。
ソーシャルファームさんじょうで活動する三条市地域おこし協力隊から毎日、数人が参加したほかに、つてをたどって長岡造形大学と新潟大学の学生、地域住民らが1日目10人、2日目15人、3日目9人が参加。1日目はカーテンを外したり壁の下地をはいだり、2日目は壁を塗ったり中二階の床板を張ったり、3日は壁塗りの続きをしたりふすまを張ったりした。
116平方メートルもの広い古民家なので、作業量は膨大。予定した障子張りやピザ窯作りまでは手が回らなかった。それでも設計会社や左官の援軍もあり、作業は着実に進み、参加した誰もが十分に満足感を味わい、またワークショップをするときは声をかけてくれるよう頼んでいた。
新潟大学教育学部音楽科でビオラ奏者、福井県出身のビオラ奏者有山恵梨花さん(19)は大学の友だちに誘われて3日間、下田地域で寝泊まりしてワークショップに参加した。「1日目は、めっちゃほこりが多かったけど、きれいになると楽しくなった。ペンキ塗りもあんな高い所は初めて。ふすま張りも初めてで真剣でした」と新鮮な体験を楽しんだ。
「予想していたより汚れていたけど、3日間でこんなにきれいになるとは思わなかった」と成果に大満足。「予定が合えばまた参加したい」と話した。
ゲストハウスの企画を担当している地域おこし協力隊は東京都江東区出身のシングルマザー吉川礼乃さん(25)と新潟市出身で旅行会社勤務の経験がある田中美央さん(28)。吉川さんは「2人でよくコンセプトを話しながらやってきた。互いの得意を生かしていけたらいい」と言う。
「一歩を踏み出せない人の目線で、移住を決めかねている人に発信できれば」と、とくに女性から来てもらえるようにトイレをきれいに整備することにした。
今回のワークショップは当日だけでなく、準備や人集めから奮闘した。「こんなに大勢の人が集まってくれ、ここだけで完結させるのはもったいない。ここが学生の学びの場にもなれば」とも期待した。
ゲストハウスは来春のオープンを目指している。それまでにこのあともワークショップを行う予定だ。