ご当地ラーメンで地域の活性化を図る「燕三条ラーメン王国」(梨本次郎国王)は、6年越しで制作を進めてきた「燕三条ラーメン王国物語」の絵本と紙芝居が完成。15日、三条市と燕市の保育施設、小中学校、図書館に寄付した。
主人公は磨きの国、燕で生まれたセ・アーブラ君と鍛冶の国、三条で生まれたカレー君。もちろんそれぞれご当地ラーメンの燕の背脂ラーメン、三条のカレーラーメンがモチーフだ。互いに素直になれずけんかしてばかり。ある日、北の国からアッサリ王国(新潟市)、濃厚みそ王国(新潟市)が南の国からショウガ王国(長岡市)が攻めてきた。で、新潟五大ラーメンの王国が勢ぞろいというわけだ。
しかし、燕三条ラーメン王国がひとつになったことで、それぞれが他国のことも認め合い、尊重することでみんな仲良く暮らしました。めでたし、めでたし、といったストーリーだ。
絵本はA4版、24ページで、寄贈分だけ製本した。三条市と燕市の小学校と図書館すべてに1冊ずつの44冊、それと紙芝居を保育施設と図書館すべてに1部ずつの71部を寄付した。
15日は午後から三条市役所で国定勇人市長、燕市役所で鈴木力市長に直接、絵本と紙芝居を手渡して寄付した。国王の三条市・梨本次郎さん(43)ら5人が訪問し、カレーラーメン体操マスターに認定されている田辺夏江さんと高橋江里子さんがそれぞれ市長を子どもに見立てて絵本と紙芝居を読み聞かせるサービスをすれば、両市長とも国王の王冠とマントを着用してサービスした。
国定市長は「これ、おとなに聞かせたいね」と、良くできたストーリーに関心し、王国が長く活動を続けていることを評価。鈴木市長は紙芝居にするとイメージが膨らみ「紙芝居にしたアイデアがすばらしい」と絶賛した。燕市は絵本のイキイキまちづくり事業助成金で補助した。
燕三条ラーメン王国は、梨本さんが燕三条青年会議所の理事長だった2010年から燕三条青年会議所の事業として取り組んだのが始まり。絵本の制作は、10年に燕三条地場産業振興センター主催燕三条「学生」ビジネスアイデアオーディションで当時、長岡造形大の学生だったMihoさんがカレーラーメンのキャラクターをデザインした「カレーラーメンパンとそのパッケージ」で優秀賞を受けたのをきっかけに、翌11年からMihoさんに作画を依頼しプロジェクトがスタートした。
ストーリーは梨本さんが考え、Mihoさんが絵を担当。読み聞か団体の三条市の「おはなしバスケット」、燕市の「おはなしコロボックル」からも指導を受け、多くの個人、団体の協力で完成した。
その一方で「カレーラーメンの歌」や「カレーラーメン体操」、「燕三条ラーメン王国お遍路マップ」などをつくり、ずっと活動を続けてきた。梨本さんは「この絵本を小さいころから読んでもらえれば地元のソウルフード、ものづくりが刷り込まれ、郷土愛の醸成につながる」と社会貢献に期待した。
近く販売用の絵本のミニ版を発売し、一部200円で燕三条地場産業振興センター、燕三条駅観光物産センター「燕三条Wing」、道の駅 国上などで販売する。また中越交通は認定ドライバーが人気ラーメン店や有名観光地、人気のスイー店などを回ってガイドする「燕背脂ラーメンタクシー」を9月下旬から運行し、そのタクシーにあんどんやボディーにラーメンタクシーの表示とともに燕三条ラーメン王国のキャラクターも表示する。