真宗大谷派三条別院(森田成美輪番・三条市本町2)では、19日から21日まで秋彼岸会の朝の人生講座にあわせて初めての御虫干し展を開き、書画を中心にお披露目している。
宗祖親鸞(しんらん)の七百五十回御遠忌の記念事業として本堂や旧御堂の修復工事が行われたのに伴い、新たに仏具庫ができ、寺宝などを収蔵している。整理もしやすくなり、定期的に虫干しをした方が好ましいとの指導もあった。せっかく虫干しするなら、地域の人たちにも寺宝を公開し、三条別院に足を運び、親しんでもらおうと初めて御虫干し展を開くことにした。
展示しているのは寺宝の一部。書院と旧御堂、同朋会館2階に展示しているが、書院以外は常設展示している。書院には書画11点のほか、三条別院の歴史を伝える資料も展示している。
詳細を把握していない寺宝も多い。軸「東久世伯書」もそのひとつ。何が書かれているのかわからなかったが今回の御虫干し展を機に三条別院書道教室「東友会」で講師を務める書家木原光威さん(55)=三条市井栗=が読み下し、解説も添えて展示している。
「二百年貯金寄付石」の拓本がある。摂政の宮殿下のご成婚を記念して1923年(大正12)9月から200年後の2123年8月まえ郵便貯金に預金して利殖によって一家の土台金を造成するという壮大なプロジェクトが記してあり、10円の貯金で200年後には18万2,993円になると計算している。
それからまだ100年もたっていないが、すでにその貯金がどこにいったかわからなくなっているようだ。寄付額を見ると三條町が最高の500円、それに次いで三条別院、燕専養寺、白根町がいずれも30円を拠出している。さらに八幡小路区が20円、与板歴史民俗資料館の建物のモデルにした与板万歳閣が12円、八幡宮、本成寺、三条西別院が5円と続く。興味深い資料で、三条歴史研究会が調査を進めている。
ほかにも親鸞の孫にあたる如信上人とひ孫に当たる覚如上人の肖像画、真宗大谷派の学僧で東京大学でサンスクリット語を指導、大谷大学学長を務めた南条文雄の書「篤敬三宝」、作者や制作年が不詳の「往生要集極楽絵図」、江戸後期の儒者、頼山陽の書「南無六字城」などがある。また、お取越しなど特別な法要のときにしか使わない奥書院も公開している。
書院から眺める中庭も見どころだ。2015年9月から門徒が庭講をつくって毎月、枝の剪定(せんてい)を続けてきたおかげで、やぶのようになっていた中庭が美しい姿を取り戻している。
朝の人生講座は、19日から21日まで毎朝6時からお勤め「晨朝(じんじょう)」、6時半から法話を行って7時に終わる。法話は「貧」=貪欲(むさぼり)、「瞋」=瞋恚(しんに)、「痴」=愚痴(おろかさ)の順に3つの根本煩悩について説き、20日は恩長寺(新潟市南区)の渡辺智龍氏、21日は長周寺(新潟市西蒲区)の池田陽氏が務める。
この8月の「朝の人生講座」で参加者に地元のパンとスイーツの店「コロネット」のコラボレーションしたオリジナルパンと牛乳プレゼントして好評だったが、今回も同様に先着50人の’を毎日、先着50人にプレゼントする。今回は新作「野沢菜クリームチーズ」も登場。先着50人以降はふつうのパンになる。
3日間、日中に秋彼岸会法要と法話も行っている。20日は西光寺(上越市大町)の豊島信氏が午前10時から日中法要(永代経総経)、1時半から逮夜法要を行う。豊島氏からは仏教書「歎異抄(たんにしょう)」を中心に話を聞く。お斎は精進弁当で三条別院オリジナルの「聖人とゐなかの人々」を地元の衆楽館がつくる。当日券もある。21日は午前10時から行念寺(新潟市西区)の大滝充弘氏が日中法要を行う。