燕三条地域の名だたる工場を開放する「燕三条 工場(こうば)の祭典」が5日から8日までの4日間、開かれる。ことしで5年目になり、昨年の96拠点を上回る103拠点の工場を公開。新たに産地の祭典や燕三条珈琲道具館の同時開催もあり、昨年以上に規模を拡大、充実させて燕三条のディープなものづくりの世界を体感してもらう。
103拠点は工場83のほか、農業関連の耕場11、販売を行う購場9の内訳。開放する日にちや時間は工場によって異なり、ワークショップを用意するところも多い。昨年に続いて三条市桜木町、三条ものづくり学校がメーン会場になる。
初日5日は午前9時からその三条ものづくり学校で開会式を行って開幕。会場を変えて毎晩、レセプションパーティーが開かれ、5日は午後6時から三条ものづくり学校でオフィシャルレセプションが行われ、スノーピークの山井太社長と工場の祭典の武田修美実行委員長が「KOUBAのこれから」をテーマにトークショーのあと、産地の祭典に参加する11産地の自慢の「食」を酒のさかなに産地のメンバーとの交流会で盛り上げる。
このあとのレセプションは、6日に山谷産業(三条市北入蔵2)、ベジテーブル(三条市本町1)で三条果樹専門家集団、テーエム(三条市金子新田丙)で「奏でる工場」、7日は武田金型製作所(燕市東太田)、ツインバード工業(燕市吉田西太田)では「燕 若獅子の饗宴」、8日は諏訪田製作所(三条市高安寺)でファイナルパーティーが開かれる。
産地の祭典は三条ものづくり学校で毎日午前10時から午後5時まで開かれる。産地の祭典を企画するきっかけになった富山県高岡市の高岡伝統産業青年会をはじめ、福井県鯖江市のめがね、佐賀県有田町の有田焼、海外からもインド・ムンバイのガラス、台湾・竹山の竹製品など11の産地が参加する。
ワークショップや展示、販売で各産地をアピールする。入場無料だが、参加費や予約が必要なワークショップもある。6日から8日までは各産地のキーパーソンを講師に7回のトークイベント「スクールトーク」も行う。
高岡伝統産業青年会との連携から、中央と地方の関係ではなく、地方と地方の産地交流の視点から独立したイベントして企画。今回は工場の祭典と一緒に開き、産地間の課題を共有、メーン会場の強化にもつなげるが、来年以降の開催地などは未定だ。
燕三条珈琲道具館は4日間とも午前10時から午後4時まで燕市産業史料館で開館。地元でもあまり知られていない燕三条地域で生産されているポット、ドリッパー、ミル、クリーム入れなどコーヒー関連の道具にスポットを当てる。
新潟市と三条ものづくり学校に店舗のある「THE COFFEE TABLE」が4日間、館内にブースを構えてフィルター珈琲とアイスドリップ(急冷式)をいずれも500円で販売するほか、5日は神奈川・鎌倉の「カフェ・ヴィヴモン・ディモンシュ」から堀内隆志氏、6日は東京・世田谷の「堀口珈琲」から伊藤亮太氏と小野塚裕之氏、7、8日は東京・表参道の「大坊珈琲店」から大坊勝次氏を迎えてコーヒーのデモンストレーション、試飲、セミナー、コーヒーの話しなどを行う。
長岡造形大生と一緒に工場の祭典でおなじみのピンクの斜めストライプを主体とした装飾にも取り組む。場所も大学生が選定し、永塚製作所、三条スパイス研究所、燕三条駅の3カ所に装飾がお目見えする。
今年度は燕三条地域向上人材育成事業に取り組んでいる。燕三条地域に主にものづくりに精通した「燕三条コンシェルジュ」を認定し、工場の祭典の期間以外の361日間の燕三条のアピールに取り組んでもらおうというもので、7月から全10回の講座を開設し、社会人4人、大学生2人の6人が学んでいる。工場の祭典でもインフォメーションやオフィシャルツアーのガイドを担当し、腕を試す。
3日夜は工場の祭典前の最後の講座を開き、グランドハイアット東京のチーフコンシェルジュ阿部佳さんを講師に「燕三条を知る(ホスピタリティ編)」を開き、6人の受講生のうち都合のついた3人と実行委員会のメンバーも受講した。
受講生のひとり、パッケージやディスプレーを手掛ける株式会社ほしゆう(星野光治代表取締役・燕市吉田東栄町)で働く山本仁美さんは、進んで燕三条コンシェルジュに参加した。三条ものづくり学校のインフォメーションガイドを務めるほか、6日午前のオフィシャルツアーでツアーガイドも務める。「めったに経験できないことを経験させてもらえてありがたい」と感謝し、早くも本番に向けて早くも緊張気味だ。
武田実行委員長は「工場から満足できる接客ができるのかといった声がある」と課題もあり、「ただやみくもに人を集めるだけではない何かを探さなければいけない」とし、「燕三条地域として一緒に成長していける顧客層、ニッチでディープなファンによりしっかりアプローチしていくこと」が重要で「工場で人をつなげることを求めるなかで導き出したのが、燕三条は1年中、工場で人をつなげること」と燕三条コンシェルジェのねらいを話す。
ことしのテーマは「開け!、KOUBA!燕三条に丸ごと触れる秋の4日間」。「工場の祭典のなかだけでなくイベントを囲んでいる環境とか取り組みも広げているのがことしの特徴」と武田実行委員長は話している。
昨年の工場の祭典は約3万5千人が来場するビッグイベントに成長しており、それにあわせたイベントも燕三条地域で数多く開かれる。5、6日は燕三条地場産業振興センターで燕三条地域の卸問屋やメーカーが一堂に会す燕三条トレードショウ2017が開かれる。
5日から8日まで三条市歴史民俗産業史料館で企画展「三条の鍛冶屋は顕微鏡をのぞく-岩崎航介、そして50年-」、7日は三条市の繁華街、本寺小路を中心にさんじょうバル街と三条本寺小路あかり物語第十三章、8日はJR燕三条駅で県央まつりが開かれる。
さらに、7日は午前8時から三条市・一ノ木戸ポプラ公園で三条市スポーツごみ拾い大会 in 燕三条 工場の祭典が開かれ、燕三条青年会議所は8日に燕三条地場産業振興センターで燕三条カンファレンスを開催。5日から8日まで燕三条地域の参加店で割引きなどのサービスが受けられる「燕三条 口場の祭典」もある。ツバメコーヒー(燕市吉田)では、6日午後6時半から哲学者鞍田崇氏をゲストにトークイベント「〈NOISE & CODE〉ー 小さなノイズに耳を傾けること」(コーヒー付き1500円)が開かれる。いちばんのノイズは「死」だと思う。
三条ものづくり学校には23台のレンタサイクルを用意し、燕三条駅との間を20分間隔でシャトルバスを運行する。