ドイツ生まれで兵庫県美方郡新温泉町・曹洞宗安泰寺の住職、ネルケ無方(むほう)氏を講師に9日、三条市中央公民館で三条市仏教会(福井憲雄会長)主催、三条法輪会(重田祥鑑会長)主管の第46回仏教文化講演会を開かれ、300人あまりが来場して「仏教とキリスト教 ドイツ人禅僧の“二つの魂”」をテーマに聴講した。
ネルケ無方氏は生い立ちから話した。1968年にドイツの西ベルリンに生まれ、教会で牧師だった祖父の手によってキリスト教の洗礼を受けた。7歳で母と死別し、どうせ死ぬのなら何のために生きるのか、人生の意味は何だろうと思うようになった。
14歳でキリスト教の堅信という儀式があったが、神を信じることができなかった。16歳で座禅と出合い、「初めて自分の体を発見した」、「首より下の姿勢が変わると自分の気持ちが変わる」、「初めて自分の呼吸に気づいた」。
座禅にひかれ、大学で哲学と日本学を専攻し、在学中に1年間、日本で留学し、安泰寺に上山して半年間の修行体験。帰国後に大学を修士課程で卒業し、再び安泰寺に入門したことなどを写真も映しながら話した。
流ちょうな日本語で話し、ホワイトボードには漢字も書いた。午後2時半の開演だったので「今はお昼寝の時間」、後半の方が難しい話になるので「後半はゆっくり眠ってください」と冗談で笑わせた。来場者は年配の人が多かったが、すぐにネルケ無方氏がドイツ生まれであることを意識しなくなり、講演に聴き入っていた。