「燕三条 工場の祭典」に初参加した作業工具などを製造する相場産業株式会社(相場健一郎社長・三条市金子新田乙)は、5日に開設したサイクリスト用メンテナンス工具ブランド「RUNWELL(ランウェル)」の社内開発室「SHARE PORT(シェアポート)」をショップや体験の場として開放した。
相場産業はレンチやスパナ、自動車搭載工具などを熱間鍛造から表面加工まで一貫生産するメーカー。11年にメード・イン・ジャパンにこだわる自転車工具ブランド「RUNWELL」をスタートし、「シングルスピード」と呼ばれる変速機の無いスポーツタイプの自転車で重宝されるサイズのレンチ、携帯性を意識した小型軽量の工具やパーツを製造販売する。
工場の祭典の4日間では、前半は工場見学を行った。後半はがらりと趣向を変えて「SHARE PORT」で商品の販売や自転車競技の選手が練習に使う「三本ローラー」の体験、参加者とともに自転車に乗って近隣の工場をを巡る「ツール・ド・KOUBA(こうば)」 を行い、全国各地から訪れた来場者を楽しませた。
「RUNWELL」を目当てに訪れる人もいた。長野県長野市の20歳代の男性は「自転車が趣味のひとつで、作ってほしい工具がある」と相場社長に提案した。インターネットで同社の工場や製品は見ていたが、実際に足を運んで質感や重量を体感し、「すごいなと思った。質問ができたり、さわれるのがいい」と工場のにおいなどあわせて五感でリアルな工場の雰囲気を味わった。
テレビで工場の祭典を知って興味をもった北海道札幌市の男性は、特別に大型の鍛造の機械の入れ替えをしている休日の工場を案内してもらった。岐阜県で機械設計と中小企業診断士をする男性は「小さいところに、これだけの工場が集まっているところもおもしろい」と、それぞれ現場ならではの情報や感覚に感心した。
「SHARE PORT」は、「分かちあう港」の意味。同社の第三工場の事務所をリノベーションし、相場社長自らも壁を塗るなどどDIYで仕上げた。開発の新しい場所にと設置したが、相場社長の構想ではまだ序章。一般のサイクリストから気軽に立ち寄って空気入れや工具を使ってもらい、情報や工具をシェアする場にしていきたいと言う。
将来的には、サイクリングツアーの開催や工場の祭典の期間中に限らないオープンファクトリーも視野に入れ、交流人口の増加にもつなげたい考えだ。