衆院選の期日前投票最終日の21日、三条市は三条、栄、下田の各庁舎に設けた3カ所の期日前投票所の投票者(小選挙区)が、予想をはるかに上回る4,556人にのぼった。3カ所で最も投票者が多い三条庁舎だけでも3,222人に達したが、ピーク時でも順番待ちの行列はなんとか30人ほどにとどまった。
三条庁舎で期日前投票の1日の投票者が最も多かったのは、2012年の衆院選の期日前投票最終日で、1日で1,699人が投票したが、今回はその2倍近くにのぼった。そこまで増えるとは三条市選挙管理委員会事務局の予想を超えた。それでも大きな混乱がなかったのにはいくつか理由がある。
まず、期日前投票宣誓書を入場券の裏側に印刷して宣誓書付き入場券としたこと。期日前投票は投票所で期日前投票宣誓書に期日前投票をする理由、宣誓する者の住所、氏名、生年月日を記入しなければならないが、これが結構な手間で、投票所で記入する時間が投票日の投票に比べて余計に時間がかかる。
それが今回の選挙から宣誓書付き入場券を発行できることになり、宣誓書付き入場券に記入して投票所へ行けば期日前投票所で期日前投票宣誓書を記入する必要がなくなった。投票事務にあたった職員によると21日は半数ほどが宣誓書付き入場券の宣誓書に記入していたと言う。
さらに期日前投票宣誓書は、これまでいすに座って記入する形だったが、加茂市の期日前投票所にならって記載台で立ったまま記入してもらうことにして座ったり立ったりの時間も節約。さらに投票の流れも無駄がないように見直すなどいくつもの細かい工夫が投票時間の短縮に貢献した。
一方、燕市の21日の投票者2,235人だった。三条庁舎の3,222人の7割ていどにもかかわらず、ピーク時は100人前後もの順番待ちの行列ができ、行列に並んでから投票を終わるまで20分以上もかかることもあった。
燕市は宣誓書付き入場券ではなく、これまで通りの入場券を発行した。入場券は各市町村が印刷する。三条市は衆院が解散してから印刷を手配したのでは間に合わないと踏んで、解散前から印刷会社とデザインなどの打ち合わせを進め、解散したらすぐに印刷にかかれるように準備をしていた。
一方、解散してから準備を進めた燕市は発行が間に合わなくなり、今回は宣誓書付き入場券は見送った。宣誓書の記入もこれまで通り座って行う方法。そうした違い両市の投票時間の違いにあらわれたようだ。
燕市では長い行列ができて投票に時間がかかったため、次回の選挙は期日前投票を避けることも考えられなくはない。ただ、1カ所の投票所で1日3千人前後をさばくのは、これまでの形では限界がある。今後もさらに期日前投票が増える可能性が高く、抜本的な対応の変更を求められそうだ。