26、27の2日間、燕三条地場産業振興センターで開かれている「燕三条ものづくりメッセ2017」はビジネスのための展示会だが、門外漢でも楽しめる展示がいっぱい。ゆっくり眺めるだけでも半日がかり。会場をぶらぶら散歩しながら見たブースのようすを超個人的な視点で紹介する。
やすりを製造する有限会社柄沢ヤスリ(燕市燕)では、同社の看板ともいえる岡部キンさん(燕市中央通1)がブースに立っている。やすりの目立て一筋に60年以上。94歳になった今も第一線で働く。メディアの注目を集めて近年の同社の好業績に貢献。昨年は燕市から「つばめ輝く女性賞」の表彰を受けている。
会場では自社製品を紹介するだけでなく論より証拠で、実際に来場者のつめを自社のやすりで磨いてあげることも。「やりがいを感じてます」と岡部さんは、はにかんだ。
木材を素材に家具や介護用品を製造株式会社ツボフジ(三条市尾崎)は、机といす、名刺入れ、玩具、ペンケース、国定三条市長も愛用するネームカードホルダーなど自社製品を展示している。
しかし、OEMの製造に追われ、自社製品までなかなか手が回らないという、うれしい悲鳴。それというのも人手不足に困っており、求人しても応募がなく、技術者を募集中。製品と同時に求人もアピールしている。
本格刃物からアイデア商品まで幅広く刃物製品を製造する株式会社富田刃物(燕市小関)は、日本の狩猟文化が生んだスコップ状の刀身形状で土も掘れる園芸用ナイフ「レジャー・ナイフ」をメーンに展示している。
あわせてそのOEMでアメリカのアウトドアツールの「Snow Joe」の特注品としてアメリカのブランド「マーサ・スチュワート」から販売されている製品も展示しているが、残念ながら国内では入手できない。大量の注文を受けて生産が間に合うか心配するほどの人気と言う。
ツインバード工業株式会社(燕市吉田西太田)はこの秋、発表した初めて企画から製造まで自社で手掛ける代物家電、2ドア冷蔵庫(10月下旬発売)と全自動洗濯機5.5kg(11月下旬発売)を紹介している。
大手家電メーカーがあまり手を出さない分野の家電に注力しているイメージだが、白物家電となると大手とも競合する。近年、生産を海外から国内、それも燕三条地域へのシフトを進めるなど新機軸を打ち出しているが、白物家電への進出もそれを象徴するよう。会場の社員も「社員がいちばん驚いている」と笑顔だった。