2000年シドニー五輪柔道男子100kg級金メダリストの井上康生さん(39)による柔道教室が4日、燕市体育センターで開かれ、中学生27人が参加して世界の頂点に立った柔道家の指導に目を輝かせて取り組んだ。
2020年東京五輪パラリンピックへの気運を高めようと、燕市は五輪メダリストなどトップアスリートを指導者に迎えてスポーツ教室を開いている。市内中高生を対象にしたが、この日は県内高校などを対象にした柔道大会が開かれたこともあって参加は27人と少なく、燕中と弥彦中、六日町中、塩沢中が参加した。
左胸に日の丸のある柔道着の井上康生さんは、ウォーミングアップに始まって、「この技があったから五輪や世界選手権で勝てた」と井上康生さんが言う得意技の内股を中心に基本から応用へと教室を進めた。
中学生の内股を見た井上康生さんは「みんなとっても上手。基本的なところはしっかりできている」とほめながら「私の内股の百分の一くらい」と笑わせ、技をかけにくい相手に技をかけるために、回転を利用したり、ほかの技とつなげてほかの技をかけるように思わせたり、相手の力を殺すために頭を使ったりと、さまざまな技術を合理的にわかりやすく具体的に手本も示して伝授した。
「強くなるには精神論より技術」としながらも「向上には失敗がつきもの。失敗をおそれることがみんなの成長を止める」、「やるからには頂点を目指してほしい。それがみんなを成長させる」と心構えもアドバイスした。
井上康生さんの手本の技を受けた弥彦中学校3年武石一希さん(15)は「緊張して話の内容が飛んでしまった」と苦笑い。技を受けて「全然、レベルが違う感じ。力を入れてるのにこんなに簡単に投げられるとは。ふっと空中を舞うような感じがした」と驚き、「自分のプラスになることがほとんどで、自分はまだまだだと感じた」と新しい目標に目覚めていた。