真宗大谷派三条別院(森田茂美輪番・三条市本町3)は、5日から8日まで宗祖親鸞(しんらん)の祥月命日に向けた「お取り越し報恩講」を行う。年々、参拝が減って衰退するなか、ことしは三条中央商店街振興組合と本格的に連携した取り組みを行っている。そのひとつ「超難解スタンプラリー」で4日、コンプリート第1号が誕生した。
中央商店街の加盟店を中心に15カ所をめぐるスタンプラリー。ただ店へ行ってスタンプを押してもらうのではなく、店でクイズに答えるとスタンプを押してもらえる。店の人とコミュニケーションしてもらおうという趣向。10月末から実施している。
スタンプを3つ集まると三条別院オリジナルがもらえ、すべて集めるとお取り越し報恩講の精進料理ペア招待券がもらえる。さらにコンプリートした先着3人は東本願寺両堂湯飲ももらえる。
三条市内の会社に勤める見附市今町1、会社員大竹昌弘さん(29)。3、4日のほぼ2日間で16カ所を回りきり、最後のスタンプは三条別院で押してもらってコンプリート。本堂で森田輪番から大竹さんに表彰状を授与した。
家の墓は三条別院と同じ真宗大谷派の長岡市中之島、光正寺にある。お取り越しに行ったことはないが、落語が好きなのでお取り越し直前に三条別院で行われる落語「ごぼさま寄席」には毎年のように足を運んでいる。
スタンプラリーはほとんどの店が初めてだった。夜の店は実際に1軒ずつ飲み歩いてスタンプを収集した。「ひとりも達成者がいないと聞いて」とコンプリートを目指してスタンプラリーに挑戦したが「まさかひとり目とは思わなかった」と大竹さん。せっかくなので本堂の裏などを案内してもらい、大竹さんは「めったに見せてもらえない貴重な場所を見せてもらえた」と感激していた。
森田輪番は「雨のなか、よく回っていただきました」と大竹さんの熱意に感謝。「地域の活性化と別院のランドマークとしての位置づけを少しでも皆さんに親しんでもらえればと思う」と話した。
スタンプラーの台紙ともなる三条別院お取り越しマップを作成し、「中央商店街名物くいだおれ」としてお取り越しのときにしか食べられない名物料理、「お土産グランプリ」として各店がお取り越しにあわせて販売する秘蔵品の紹介も掲載している。
三条別院のお取り越しは今も各地から門徒の参拝者を集めるが、減少傾向が続く。参道には臨時市が開かれるが出店者も減る一方で、昨年まで5日から3日間だったが、ことしは1日減って5、6の2日間だけに。露店が減れば参拝も減る悪循環に陥ってしまう。
またせっかく参拝客が大勢、三条別院に集まっても境内から外へ出ず、参拝が終わるとそのまま帰ってしまう。少しでも商店街に足を運んで商店街の魅力を知ってもらえたらと商店街とのタッグが実現した。2015年の親鸞聖人750回御遠忌法要から「開かれた三条別院」を目指し、そこで生まれた地域とのつながりが下地になっている。
三条別院の斎木浩一郎列座兼書記は「昨年は例年より参拝客が多かった。地域の人たちとの人間関係を大切にして今後につなげていきたいと話している。
ことしもお取り越し報恩講は5日午前11時からの報恩講お待ち受け音楽法要で始まり連日、法要が営まれる。法話は5、6日のいずれも午後1時から石川県能美郡川北町・浄秀寺住職で大谷大学准教授の藤原正寿氏、絵解き法話は7、8日のいずれも午後1時から愛知県清須市・久證寺副住職で三河すーぱー絵解き座座員の名和照正真氏が行う。
また、6日は午後7時半から昨年に続いて劇団ASKによる無料の演劇公演「シアター サジョー ゴボー」が行われる。