23、24の2日間、初めて三条市で開かれる第30期竜王戦第四局の前夜祭が22日夜、会場の越後長野温泉「嵐渓荘」(三条市長野)で開かれ、各地から約100人が参加して渡辺明竜王(33)と挑戦者の羽生善治棋聖(47)を歓迎し、翌日からの対局に期待した。
三条市議、三条将棋連盟会員、三条市の駒師で二代目大竹竹風大竹日出男さんなど来賓10人、主催者、6人の関係棋士など約30人と、事前に募集した県内外からの一般約70人の約100人が出席し、スーツを着た対局者2人の入場を拍手で迎えた。
2人に花束や記念品を贈呈し、2人を囲んで出席者との記念撮影した。渡辺竜王は、静かないい場所を提供してもらって棋士冥利に尽きると言い、「将棋界の最高棋戦この竜王戦にふさわしい将棋が指せるように頑張りたい」、羽生棋聖は「このシリーズも明日4戦目。これからが佳境だと思っている。自分自身のもっている力を出し切って力一杯、臨みたい」と話した。
また、国定勇人三条市長は、青山社中代表の朝比奈一郎氏が、国定市長の竹風駒のストラップを見つけて竜王戦の開催地応募などを勧めてくれたことを明かした。
一般の参加者は、県内61人と大阪や富山、東京など県外からの11人。将棋界の頂点に立つあこがれの2人を前に熱烈な将棋ファンは緊張し、笑顔があふれた。千葉県から出席した40歳代男性は小学生のころから父と将棋を指した。三条市にある妻の実家に帰省したときに燕三条駅で竜王戦の三条開催を知り、さらに挑戦者が羽生棋聖に決まって2人の対局を見たいと応募したと話した。
新潟県のアマチュア竜王戦のチャンピオン、新潟市の白川勝さん(25)は中学生だった10年前、富山県内の将棋イベントで羽生棋聖と渡辺竜王の2人と写真を撮ってもらった。当時のことを、プロ棋士を前に緊張していた中学生の自分に2人ともとてもていねいに対応してくれたのが印象的だった。将棋以外の立ち居振る舞いも天下一品で、そんな大人になりたいと目指してきたが、10年たっても変わらずトップにいる2人に当時の思いを再確認したと話した。
2人は翌日の対局のため1時間で退席。ほかに前夜祭では出演棋士紹介、出演棋士トークショーと題して中村修九段と中田宏樹八段による第四局の見どころ紹介、竹風駒や対局者2人の直筆サイン色紙などが当たる抽選会を行った。
今回の竜王戦で渡辺竜王は3連覇を目指す。かつて9連覇を果たし、失冠後2年で竜王位に返り咲き2連覇中。通算12期目のタイトル防衛に挑む。現在、ただひとりの「永世竜王」資格をもつ。
対する羽生棋聖は通算6期、竜王位を獲得。このタイトルを取れば通算7期という規定をクリアして「永世竜王」資格を得る。永世・名誉称号が設定されている全7タイトルのうち、この「永世竜王」以外をすべて獲得しており、この竜王位を奪取すれば「永世七冠」の偉業を達成することになる。
また、渡辺竜王と羽生棋聖の対局は、2008年の第21期以来で7年ぶり3度目。竜王戦は先に4勝すると竜王に決まる。第3局を終わって渡辺竜王1勝、羽生棋聖2勝と羽生棋聖がリード。渡辺竜王が勝ってタイに戻すか、羽生棋聖が勝って永世竜王にリーチをかけるか、シリーズ中盤の大一番として注目されている。
両日とも午前9時開局で、1日目は午後6時封じ手予定。2日間とも嵐渓荘で大盤解説会を開く。24日の大盤解説会は、三条市中央公民館といい湯らていの三条市内の2会場でいずれも午後1時から9時半までインターネット動画ライブ中継も行う。三条市中央公民館は参加無料だが、いい湯らていは入館料が必要。
25日は嵐渓荘で交流イベントを行う。一般参加は事前に申し込みが必要で、すでに抽選で参加者は決まっている。なお、嵐渓荘は竜王戦に伴って22日から25日までは通常営業はしていない。
日本将棋連盟