燕三条地場産業振興センターは25日から12月10日まで物産館で「市川正美彫金展」を開いており、彫金技法「布目象嵌(ぬのめぞうがん)」の第一人者として知られる市川正美さん(69)=燕市新堀=の作品20点を展示している。
市川さんは1948年(昭和23)に燕市の旧分水町に生まれた。63年洋食器金型彫金に6年間修業以後独立。83年彫金作家鹿島一谷(重要無形文化財保持者)に師事。日本工芸会会長賞、日本金工展日本工芸会賞、東日本伝統工芸展日本工芸会奨励賞受賞など、数々の展覧会で受賞。02年の正倉院宝物銀薫炉復元にも携わった。現在、日本工芸会正会員。
「布目象嵌」は、金属の生地の表面にたがねで多方向から溝を掘り、溝に金や銀などを埋め込んでいく技法。溝が布の織り目のように見えることに由来する。
展示作品は、黒い鉄の地にチョウやツバキの花をデザインした箱をはじめ、水指、茶合、ぐいのみなど20点。模様は、抽象的なものやカマキリやサギなどもあり、24金、20金、18金、16金、10金の泊のグラデーションや銀、赤胴などで布目象嵌を施している。
市川さんは、「金属の美しさを見てほしい」と話す。漆のようにいろいろな色が使われた作品を塗り物だと思う人もいるという。市川さんの作品展が、地元の燕三条地域で開かれるのは珍しく、2012年の燕市産業史料館で開かれて以来5年ぶりの貴重な機会だ。燕三条地場産業振興センター物産館の営業は、午前9時半から午後5時半まで。作品は販売もしている。