日本の総合格闘技「修斗(しゅうと)」のプロ選手、星野豊さん(23)=燕市佐渡山=は、先に行われた2017年度プロ修斗新人王決定トーナメントのフェザー級で優勝した。かつてひきこもりだった少年が今は総合格闘技のチャンピオンに目指している。
日本修斗協会が主催し、プロになってから3戦以下かつ2勝以下の新人を対象に毎年、行われているトーナメント。6つの階級別に全国各地を転戦する形で試合が行われる。星野さんが出場したフェザー級は65.8kg以下で、2017年度は4人が参加してトーナメントで競った。
決勝は昨年12月17日に東京で行われ、星野さんは山口県出身の選手と対戦。常に先手を取って相手選手に何もさせず、完勝して優勝を決めた。
星野さんの昔を知る人ほど今の姿に驚く。中学生のころはひきこもりのようになり、2年生の終わりから学校へ行けなくなった。星野さんは「自分に自信がもてなかった」と当時を振り返る。
肉体の強化が自信につながるのではと思った。総合格闘技を学びたいと思ったが、当時は教えてくれるところがなく、15歳から20歳まで地元の空手教室に通った。その後、地元でオープンした総合格闘技道場「SAI-GYM(サイジム)」(燕市吉田東栄町)に17歳から通い、修斗のトレーニングを重ねた。
アマチュアの試合で実績を積み重ね、全日本アマチュア修斗選手権で3位となり、2015年にプロ選手になった。
「強くなっていくのが実感できて楽しかった。体にも筋肉がついて見た目も変化して自信になった」と星野さん。想像した通り肉体と同時に確実に内面も変わっていた。高校へは進学しなかったが、友だちから高校は卒業した方がいいと言われ、定時制に通ったが続かず、20歳から通信制で学び直して昨年春に卒業した。
「SAI-GYM」代表の横山明彦さん(39)も24歳で総合格闘技を始めるまで何もしていなかった。初めて会った星野さんは目を合わせて話をすることもできなかったと言う。横山さん自身が「格闘技に出合って成長できた。行き場所のない人は総合格闘技と出合って生き方を変えてほしい」と願う。
「SAI-GYM」には4人のプロ選手がいるが、星野さんは初めて生え抜きでプロ選手になった。横山さんはプロ修斗新人王決定トーナメントでは1回戦負けだったので、星野さんはそれを超えた。
「伸び代はまだまだある。ぜひチャンピオンベルトをとってほしい」と横山さんは言う。星野さんも「実力が上の選手と対戦して修斗のランキングを上げ、最終的にはチャンピオンにいけたら」と頂点を目指している。