燕市産業史料館学芸員の桑原美花さん(26)は、もともとヨーロッパに興味を引かれていた。とくにヨーロッパの美術が好きで、美術館の学芸員という存在も知り、高校生のころからヨーロッパを勉強したいと思っていた。
長岡市の旧寺泊町出身。新潟大学人文学部で西洋美術史を専攻するうちにのめり込んだ。同大学院現代社会文化研究科の前期課程を修了して修士に。学芸員資格も取得している。新潟県立歴史博物館で1年間、非常勤職員を務めた後、燕市に採用されて2016年4月から燕市産業史料館で学芸員を務める。
当初は名物学芸員とも呼ばれた齋藤優介さんとの学芸員2人体制だったが、昨年4月から齋藤さんが燕市観光協会に出向。史料館の学芸員は2年目の桑原さんひとりになった。
京都伝統の錦織を紹介する龍村周織物展など新奇性のある企画展に取り組み、プレッシャーで体重が激減したことも。2年に1度のペースで開かれている「世界のスプーン展」では壁に設置した世界地図の上にスプーンをつり下げるなど新たな展示方法で新風も吹き込んだ。
大学時代に県立近代美術館で実習している。燕市産業史料館については「特徴は企業と連携したり、企業の人から話を聞いたりできること。知識を増やさせてもらいました。大きな博物館では作り手から直接、話を聞ける機会は少ないですから」と桑原さん。「ものづくりにかかわる人から助けもらっています」。
学芸員になってから大学教授やたくさん話を聞いてもらったり、作家からじかに制作意図を聞けるようになったことを「今まで雲の上だった人たちだったのが、雲が取っ払われたような感じ」と表現する。
史料館はことし、リノベーションが始まり、新しいステージを迎える。「燕市、新潟県にとどまらず全国のものづくりの技を紹介する機会が増え、ものづくりの発信地みたいにできたらいいと思います」と桑原さんなりの思いを話した。