インターネットショッピングモール「楽天市場」を運営する楽天株式会社(三木谷浩史代表取締役会長兼社長・本社:東京都世田谷区)がCSR活動として行っている高校生向けECビジネス実践授業「楽天IT学校」の参加55校が1年間の成果を披露する「楽天IT学校甲子園」が20日、同社で開かれ、参加校のひとつ県立三条商業高校(遠間春彦校長・三条市田島2)は楽天市場部門で見事、優勝を飾った。
楽天IT学校は、インターネットビジネスの可能性を伝え、地域での職業選択の幅を広げ、地域を担う次世代の人材を育成しようと2008年から楽天と全国各地の高校、地元企業が連携して行い、昨年5月までに累計245校が参加し、卒業生は5,378人を数える。
授業は楽天社員とパートナー企業のスタッフが担当。実際に楽天で販売ページを制作、販売し、販売ページの改善、売上の検証と改善策の検討、ショップ・ホテルのケーススタディーを行い、楽天IT学校甲子園で各校の生徒が授業で学んだことをプレゼンテーションする。
三条商業高校は今年度初めての参加で、連携した地元企業は楽天市場に出店して12年目になる株式会社シバデン(三ツ谷大社長・燕市中央通3)。シバデンは電動歯ブラシや掃除機などオリジナル家電をネット直販だけで販売するユニークな企業で、同社の音波歯ブラシは楽天ランキング1位を獲得したほか、テレビや新聞でも同社の製品が取りあげられている。
三条商業高校では、総合ビジネス科の3年生35人のクラスが楽天IT学校に参加した。毎週の授業のほかにも月1回、楽天社員とシバデンの三ツ谷社長(43)が講師として学校へ出向いた。生徒は7つのチームに分かれてチームごとにシバデンの製品のなかから販売した商品を選び、それぞれに楽天の販売ページを作成し、実際に販売した。
今回は、スマートホンで見やすいページがテーマになっていたので、文字の大きさにも気を配り、昨年10月から販売ページを作り、11月からシバデンの販売ページと重複する形で同じ製品の高校生が制作した販売ページでも販売した。
12月初めに発表会を開き、ほかの高校や専門学校の先生などを審査員となって投票し、サイクロン式ハンディクリーナーを選んだ女子4人、男子1人のチームを三条商業高校代表に決めた。その成果を競う楽天IT学校甲子園は、3ブロックに分けて予選が行われたあと、各ブロック2チームの6チームが参加して20日、楽天本社で本選のプレゼンテーションが行われた。楽天市場と楽天トラベルの2部門あり、三条商業高校は楽天市場で優勝、頂点に立った。
サイクロン式ハンディクリーナーの販売ページは、忙しい主婦を助けたい、忙しくている理由のひとつは掃除で、具体的な掃除の大変さを示したうえで、サイクロンハンディクリーナーが吸引力の高さ、軽さ、紙パック不要、折りたたみ可能、それゆえサイクロンハンディクリーナーでいろいろな悩みをすべて解決できると筋道を立てて有益性を解説している。
生徒が積極的に写真のモデルに登場して高校生らしさを前面に出した。吸引力の高さも使用前、使用後の写真を並べて一目でわかるようにし、お笑い感覚も盛り込んでついつい引き込まれてコンテンツを読み込んでしまう充実したページ構成だ。
本選ではプレゼンテーションが終わった段階で三ツ谷社長は三条商業高校の優勝を確信する内容だった。「これ以上、やりようがないというほど内容を詰め込んだ商品ページになったと思う」と三ツ谷社長にとっても百点満点のできばえだった。
楽天IT学校をスタートした当初は「全国大会で優勝しようと話したので、生徒は何を言ってるんだろうという感じだったと思う」と三ツ谷社長は笑う。最初は居眠りする生徒もいたが、すぐに熱中して取り組むようになり、「おもしろく思ってもらえたと思う」(三ツ谷社長)。
どうやって価値を伝えるか、ロングページにするといった要求を生徒はすぐに理解してくれた。生徒の販売ページをオープンすると初日から売れ始めた。三ツ谷社長にとっても「月1回なので負担もなく楽しんでできたし、自分の言ったことがすぐにページに反映されるとうれしくなった」と喜びにもつながった。本選の前日に上京した優勝チームは、前日も外出を早々に切り上げてホテルでプレゼンの練習を重ねる頑張りを見せた。
三ツ谷社長は「地方は土地代も安く、やれることはいっぱいある。今回の優勝で三条商業高校からIT関係を目指す人が増えればいいし、新潟のEコマースが活性化し、自分の仕事にも返ってくるのでは」と話している。