26日夜、燕市吉田吉栄地内のJR弥彦線・見対(けんたい)第二踏切の雪のわだちにはまって立ち往生した軽自動車と東三条駅発吉田駅行きの3両編成の上り普通列車がぶつかった事故で、吹雪のなかの車通勤は危険だからと列車通勤に切り替えた40歳代男性も事故に遭遇した。
男性は新潟市西区小針に住み、燕市内の会社に通っている。ふだんは車通勤しているが、前夜や地吹雪で帰宅中に何度もホワイトアウトに見舞われて視界を失う恐怖を味わったため、26日は列車通勤に切り替えた。
帰宅は燕駅から午後6時23分発の上り列車に乗り込んだ。雪のせいか15分ほど遅れての出発。次の西燕駅を出て間もなく「ファーン」と列車は異常に長い警笛を鳴らすとともに、列車は緊急停止するので何かに捕まるよう車掌のアナウンスがあり、車内は緊迫した雰囲気が漂った。
真ん中の2両目に乗っていた男性は、軽自動車とぶつかった衝撃も音も、急ブレーキの音も感じなかったが、近くにいた学生はガリガリと言う音がしたと話していた。
車掌は車と接触事故があった模様とアナウンスを繰り返した。事情を理解して乗客は誰ひとり文句を言わず、車内で待機した。列車が動けるような次の吉田駅へ向かうとのアナウンスもあっただけに、その後、バスで吉田駅へ送り届けるというアナウンスには「えー!」という声も上がり、ざわついた。
約2時間、列車に缶詰めにされた状態から開放され、線路上を歩いて事故のあった踏切まで歩いて戻ることになった。列車最後部の扉から1人ずつ降りたので、降車だけでも20〜30分かかった。踏切の所でぶつかった軽自動車など事故のようすを確認。そこから大型バスと燕市のマイクロバスに分乗して吉田駅へ向かった。
9時半ころにようやく吉田駅に到着。それから越後線で小針駅まで乗って帰宅し、結局、会社を出てから5時間後にようやく帰宅。せっかく大事をとって列車を選択したのに結果は裏目に出た。
2週間前に信越線で列車が三条市内で約15時間にわたり立ち往生し、全国ニュースになったのも記憶に新しい。男性は「バスの対応も早かった気がする」と言い、「乗客の皆さんは落ち着いていた。いい勉強になったと言うか、なんと言うか…」と複雑な心境を話した。
また、今回の事故の少し前にも同じ踏切で同じように立ち往生した車があり、その意味では今回、事故に遭った軽自動車の男性も運が悪かったと言えなくもないようだ。
なお午後11時44分に軽自動車のレッカー引き上げ作業は終わり、列車は安全確認を終わって27日午前0時34分に運転を再開し、吉田駅で運行を終了。現場は復旧した。