インターンシップ(就業体験)で燕市を訪れる学生の宿泊と市内企業や教育機関の関係者の交流にも活用できる拠点施設「つばめ産学協創スクエア」(燕市宮町)が完成し、5日、完成披露会が開かれた。
燕市初の公費による空き家の解体工事が行われた高橋書店跡地に建設された。木造2階建て延べ床面積255平方メートル。1室4人の宿泊室が3室で12人、エキストラベッドが各室3つ入るので、それを含めると最大21人が宿泊できる。
ほかに1階に研修室、2階に食堂や浴室もある。総工費は約8千万円で全額を市内中心の地元企業の寄付でまかなう。これまでに72社が協賛し、順調に寄付が寄せられている。デスク、チェア、ハウスウエア、家電、布団などの備品の多くは、市内企業の寄付や協力で調達。燕の製品のショールームも兼ねていると言う。
施設を所有、運営する「公益社団法人つばめいと」の代表理事、山後春信さん(57)=株式会社新越ワークス代表取締役=は、「燕のまちの未来をつくるそんな若者をひとりでも多く招き入れて、学生たちにこの燕を使ってもらう拠点にしたいと願っている」と期待した。
鈴木力市長は、この事業に追随してくるところもあると思うが、燕が他に自慢できるのは公益社団法人を設立してしっかり受け入れの核をつくったことは単純に真似できず、産業界が金を出し合ってハードを作ったことを誇った。「産業界の本気度、あるいは地域全体の取り組みの意欲というものをアドバンテージにしながら、どんどん事業を展開していきたい」と述べるとともに、商店街に立地していることから、商店街に新たな活力、にぎわいが生まれることを期待した。
新潟大学の小椋一夫工学部長は、4月から協創経営プログラムとしてインターンシップを核にした教育カリキュラムが工学部で全国で初めてスタートするので、「ぜひ皆さんのお力をお借りし、この建物もいっぱい使わせていただいて、この地域に大いに貢献していきたい」と話した。
燕市は今年度、つばめ産学協創スクエア事業に取り組み2016年11月に発足した「一般社団法人つばめいと」に業務委託し、大学と企業のインターンシップのマッチングにとどまらず、人手不足が深刻な地元企業への就業促進、地元企業の認知度向上や情報発信など欲張りな効果に期待する。一般社団法人つばめいとは、17年11月に公益社団法人つばめいとに移行した。
施設の利用料は学生は無料で、リネン代は受け入れ企業が負担する。受け入れ企業は会員制を視野に入れている。来年度は300人の受け入れが目標。山後さんは、「ここからのランニングは実際に燕にとって役に立つかどうかが問われる」と話している。
8日(木)に吉田高校が同施設で地元企業勉強会を開き、情報ビジネスコース2年生27人が2時間授業を行い、地元企業10社がプレゼンテーションを行う。13日(火)から長岡造形大と国際情報大の学生で本格的な企業インターンシップ受け入れが始まる。
また、地域の人たちに親しまれる施設にと、7日(水)午前10時から正午まで施設内覧会を開き、誰でも見学できる。施設の愛称も募集している。施設や事業に関する問い合わせは公益社団法人つばめいと(電話:0256-64-8850、ファクシミリ:0256-64-8852、メール:info@tsubame-square.com)へ。