木桶文化を守る越後味噌醸造のこだわり【燕・弥彦 ぐるっと探訪】 (2018.2.21)

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燕・弥彦ぐるっと探訪新潟県燕市吉田地区にあるみそ蔵、越後味噌醸造株式会社(木龍康一代表取締役社長・燕市吉田中町)は明和8年(1771)に創業した。みその香りに満たされた昼なお暗い工場の中には、見上げるほど大きな木桶(きおけ)がずらりと並ぶ。ここではずっと続いてきた当たり前の風景だが「みそ、しょうゆを醸造する蔵で木桶を使っているところは1%もない」と木龍社長。職人が手間暇をかけて希少になった木桶で仕込む木桶文化の伝統を伝えようと取り組んでいる。

“裕に百年を超す木桶で醸す”

木桶文化を守る越後味噌醸造の木龍社長と蔵の木桶
木桶文化を守る越後味噌醸造の木龍社長と蔵の木桶

6尺と呼ばれたのだろうか、いちばん大きなものは高さは約2メートル。蔵には使っていないものも含めると大小合わせて約70本の木桶がある。酒蔵として創業し、酒蔵をやめて1931年(昭和6年)に越後味噌醤油研究所を創業した。木桶は酒蔵の時代から使っているので、少なくとも使い続けて百年にはなる。木に詳しい人の見立ててでは、見た限り150年たっていてもおかしくないと言う。

現代の醸造会社では、プラスチック(FRP)製の桶が使われる。プラスチック製の方が衛生や品質の均一化には好ましいが、木龍社長が木桶にこだわるのにはもちろん理由がある。「木桶には醸造に必要な菌がすみつくことができ、参加する菌が増えるということ。その微生物の力が加わっておいしさを引き出してくれる」。

“木桶にすみついた菌が複雑なうま味を生み出す”

越後味噌上々の木桶

みその発酵には、麹(こうじ)菌、酵母(こうぼ)菌、植物性の乳酸菌の3つの菌が必要になる。木桶にすみついた菌によって蔵ごとの特徴が明確に表れる。その個性を通称「蔵ぐせ」とも呼ぶ。

越後味噌醸造のみそは、燕市吉田にしかない風土、川や空気の流れといった環境から生まれる。200年以上の長い歴史のなかですみついた菌のバランスがある。常在菌が好き勝手に発酵させ、それが特有のごちゃごちゃした、口の中にいろんな味わいが広がるようなみそに仕上げてくれる。みそ自体にうま味があり「だしが必要ないと言ってもらえることもある」と木龍社長も木桶の菌の力に驚く。

越後味噌上々の木桶

“木桶文化は風前のともしびだが”

これからも木桶を使い続けたいのは言うまでもないが、肝心の木桶を作る会社が風前のともしびだ。かつては地元吉田地区だけでも3つの木桶会社があったという。それが今では6尺クラスの大きな木桶を作れる会社は全国でも大阪の1社しかなくなった。木桶は大事に扱えば200年、300年と使えるが、木桶文化を守り続けていくには心もとないのが現状だ。

一方で木桶作りを伝えていこうという動きがある。高知県の木桶職人の親方に学ぶ3人の若手職人は、木桶づくりを学ぼうにも見本がなく、昔の木桶に学びたいと考えた。3人は昨年11月に越後味噌醸造を訪れ、3本の木桶をばらして島根県のしょうゆメーカーに持ち帰った。

越後味噌上々の木桶

新しい木桶が入手できるようになったとしても食品衛生法の壁もある。新たな木桶での醸造に許可が下りるかどうかは不透明だ。

“越後味噌醸造の木桶仕込み本醸造しょうゆ誕生へ”

明るい話題もある。かつて製造していたしょうゆの製造再開を検討した。しかし設備面などからしょうゆ製造の免許を取得が困難とわかったため、みそとしょうゆをつくる野沢食品工業株式会社(村上市塩谷)に木桶を貸し出して、しょうゆをつくってもらおうと17年2月に3本の木桶を野沢食品工業に移した。ことし18年4月初旬にはその木桶で醸造した木桶仕込みの本醸造しょうゆを越後味噌醸造ブランドで発売する。

木龍社長
木龍社長

木龍さんは越後味噌醸造の存在意義について「燕産のみそを木桶で作っている会社があるということ」。燕市は金属加工を中心とした地場産業の集積地として知られ、革新的なものづくりだけではなく、伝統的な豊かな食文化がまちを支えていることを忘れてはならない。

「燕へ来ていただくきっかけをつくり、地域のみそ屋とみそを販売することで燕を知っていただける。そのためにも、みそを作り続けるしかない」と木龍さんは醸造文化が受け継がれることが燕の魅力に貢献することを信じている。

越後味噌醸造では、蔵見学や月1回のみそ仕込み体験イベントも行っている。上越新幹線の燕三条駅で弥彦線に乗り換え、吉田駅で下車し、徒歩9分。北陸自動車道・三条燕インターから車で23分。

越後味噌醸造株式会社
住所/〒959-0244 新潟県燕市吉田中町5-10
電話/0256-93-2002
FAX/0256-92-3837
Eメール/info@echigomiso.co.jp

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