三条市名誉市民の写真家渡辺義雄さん(1907-2000)の生誕110周年の記念展が24日(土)から28日(水)までの5日間、三条東公民館で開かれる。
渡辺さんが亡くなった2000年に三条市で開かれた追悼写真展後、三条市は展示した写真70点の寄贈を受けた。そのうち会場のスペースの都合で1点を除く69点を展示。渡辺さんの代表作である1953年と73年に撮影した式年遷宮に伴う伊勢神宮をはじめ、皇居、迎賓館、著名な寺、モスクワ、イタリアで撮影した写真が並ぶ。
昭和に三条市で撮影したスナップ写真「わたしの三条」や渡辺さん愛用の初期に使ったカメラ「エルネマン・ミニチュア・クラップ」と1956年にイタリアとモスクワの旅で使った35ミリ判カメラ「キヤノンIVsb セレナー50mm/F1.8レンズ付き」、渡辺さんの撮影機材の写真や伊勢神宮を撮る渡辺さんを撮った写真を展示。伊勢神宮の式年遷宮に使われた三条の和釘と金具の展示もある。
初日24日は午前10時から開場式を行い、10時20分から渡辺さんの長女、中島ちえ子さんと日本写真家協会の松本徳彦副会長によるトークショーを行い、渡辺さんの素顔や人柄にふれ、撮影活動に関する話を聞く。
渡辺さんは三条町長を2期務めた旧大町の渡辺寅蔵の10人きょうだいの5男に生まれた。旧制三条中学校から東京写真専門学校へ進み、オリエンタル写真工業に入社。1935年にワタナベ・プロを開いて独立した。50年に日本写真家協会を創設し、58年から20年余りにわたり会長の重責を担った。
48年から建築写真集を矢継ぎ早に出版し、日本写真家協会年度賞、芸術選奨文部大臣賞、通産大臣賞を次々と受賞。74年に写真集「伊勢神宮」で毎日芸術賞、78年に勲三等瑞宝章を受章。日大芸術学部教授として後進の育成にも貢献し、90年には写真家として初めての文化功労者に認定され、同じ年に三条市名誉市民となり、開館した国内初の本格的な写真美術館「東京都写真美術館」の初代館長に就任。94年に結成された日本写真芸術学会の会長に就き、誰もが認めるわが国の写真界の頂点を極めた。
三条市では名誉市民を記念した渡辺義雄写真展と、亡くなった年に追悼展を開いており、それ以来18年ぶりの三条市での渡辺さんの写真展となる。また、2016年に東京と大阪で開かれた写真展「渡辺義雄の眼 伊勢神宮・イタリア・モスクワ」の図録を数量限定で無料配布する。
毎日午前10時から午後6時まで、最終28日は午後5時まで開場。入場無料。