ホームラン王の王貞治さんの二女でフードツーリズムマイスターの王理恵さんをゲストに5日夜、三条市まちなか交流広場「ステージえんがわ」で三条市主催の「観光地域づくりにおける食の未来シンポジウム」が開かれ、85人が来場して盛況だった。
王さんに加えてパネリストに三条市内で食にかかわる5人を迎えた。王さんは大学卒業後、広告代理店でスポーツビジネスにかかわり、両親の闘病をサポートした経験から心身ともに健康であるために食べることの大切さを実感。「食を通じて1人でも多くの人を笑顔にする」をテーマに講演、地方自治体のPRなどを行っている。日本野菜協会理事で、アスリートフードマイスター3級で野菜ソムリエ。
この日は日帰りの来条で、昼前からイタリアンレストランのイル リポーゾ、内山農園、嵐渓荘、中心市街地拠点施設「TREE」、タダフサ、泉食堂と回り、テーマにした「三条の食」を自分の舌で味わい、体感した。
王さんは3年少し前に三条出身の人と結婚して三条との縁ができたことから話し、父が胃がんで胃を全摘出したことから「食の大切さを皆さんに伝えるのがわたしの使命と思った」。そこで野菜ソムリエの資格を取って全国を回るうちに、その土地ならではのものを食べるのが楽しくなり、そこに光を当て、ファンを連れてきたいと思ったときにフードツーリズムという言葉を知り、フードツーリズムマイスターの資格も取った。
三条に来る機会は多いが、この日は初めて見る三条の食があった。イル リポーゾは驚きや感動を与えてくれるシェフで、今までは「三条らしい食が三条のフードツーリズムと思っていたが、きょうはこのシェフが三条にいるから三条に来たい、これもフードツーリズムのひとつと思った」。
内山農園のチンゲンサイは「生で食べて見たら今までにない香り」、「内側と外側の葉は味が違う」。嵐渓荘で食べた温泉粥は「うま味があった」。タダフサさんは王さんのリクエストで急きょコースに組み込んでプチ工場見学も行い、「既存の概念を覆したオリジナルの日本のパンに合わせたパン切り包丁を愛用している」。泉食堂では初めてカレーラーメンを食べ、「今まではカレーとラーメンが合うと思ったことは「一切なかった」が、実食したら「なぜこれが全国区じゃないのかって思うぐらいに懐かしく、食べ慣れた味、郷愁にかられた」などと話した。
三条のフードツーリズムについては、三条産のものを三条の人が調理するという、がちがちな意識もあったが、この日の体験を通じて「その土地に来て三条らしさが感じられればいいかのかな。三条の食で誰かがハッピーになれば、それは立派な三条のフードツーリズムじゃないのかなっていう風に、きょうはわたし自身がとてもハッピーだったので」と堅苦しくない考え方を提案した。
「三条の食と誰かをつなげたいという思いは、誰よりも強いんじゃないかと思う」とも言い、最後に「三条市の皆さんにも参加していただいて、いろんな意見を出していただいてつくりあげていくのが三条のフードツーリズムじゃないかなと。そこにわたしのように県外の人も入らせていただいて、三条市ならではの三条市のファンがひとりでも増えるようなフードツーリズムをつくりあげる仲間に入れていただけたらと思う」と積極的な参加の姿勢を示した。
参加者は飲食や農業にかかわる人をはじめ、王さんをひとめ見てみたいという人など、年齢も幅広く、王さんの話に熱心に聴き入っていた。