火焔(かえん)土器に代表される縄文をキーワードに、三条市など信濃川中流域の市町村が交流・連携をはかる信濃川火焔街道連携協議会が主催する「カムバックサーモン事業」が9日、ことしも三条市の白鳥の郷公苑で行われ、三条市立森町小学校の児童にサケの稚魚約3万匹を五十嵐川に放流してもらった。
この事業は、三条市が2010年に同協議会に参加してから毎年、市内の小学生から参加してもらって行っている。今回は下田地区の森町小学校の全校児童94人が参加し、2学年ずつ順番に放流した。
放流する稚魚は、これまでは前年の秋に五十嵐川を遡上したサケから採卵、五十嵐川漁業協同組合が養育施設でふ化させた稚魚だったが、ことしは1月11日からの大雪による停電の影響で同施設の稚魚164万匹余りのうち約半分の81.7万匹余りが死ぬ被害があった。
新潟県建設業協会三条支部から100万円の寄付を受けた同漁協は、魚沼漁協などから計50万匹を購入し、例年並みの放流を目指している。この日は、魚沼漁協から分けてもらった3万匹を、同協会三条支部のメンバーも手伝い、放流した。
雨のなか午前9時45分ころ、1、2年生児童がスクールバスで放流地点に到着。雨と前夜から気温が上がったせいで山の雪解けも一気に進み、ごうごうと音を立てて流れる五十嵐川。児童たちは雨にぬれるのも気にせず、バケツをそうっと川の中に入れて稚魚を放し、「泳いでる、泳いでるよ」、「気を付けてね」と見送った。
ふだんは、ハクチョウたちの定位置の河川敷だが、流れの速さに、30羽ほどのハクチョウたちが少し下流のよどみに避難していた。この冬、ピーク時は500羽ほどが飛来していたが、北帰行も始まり、すでに100羽ほどになっているという。
同協議会の三条市では、下田地区には5000年前、縄文人が暮らしており、当時は川いっぱいにサケが泳いでいたといわれており、そのころのように戻るようにと放流を行っていると経緯を説明した。