信濃川を分流して日本海へ流すことで信濃川のはんらんを守る要、大河津分水路の改修事業の起工式が17日、長岡市・寺泊文化センターはまなすで行われ、約300人が出席して工事の安全を願った。
たびたび洪水が発生した信濃川から越後平野を守ろうと、大河津分水路はさまざまな苦難を乗り越えて1922年に完成、通水した。改修事業は戦後最大規模の洪水で家屋浸水被害を防止、軽減するのを目的に河口から上流へ延長3.3kmを工事区間に放水路の拡幅を図るもので、そのために山地部の掘削、第二床固改築、野積橋の河口側への架け替えなどを行う。
事業期間は2015年度から32年度までで、全体事業費は約1,200億円。すでに事業は始まっているが、これまでは改修工事のための準備が主体で、これから山地部の掘削を本格化にするあたり、このタイミングでの起工式となった。
国交省北陸地方整備局の小俣篤局長は式辞で、信濃川の洪水と大河津分水路の難工事の歴史を振り返り、近年は1992年から洗堰(あらいぜき)、2003年から可動堰の改築を進め、第3期工事とも言える今回の新たな拡幅工事で、大河津分水を抜本的に改修するとし、「大河津分水路の改修は信濃川流域の治水上、極めて重要な事業と位置づけており、規模が大きく、高度な技術が求められる難工事になる。工事を安全かつ確実に早期の完成を目指して努力してまいりたい」と事業への支援と協力を求めた。
国土交通省水管理・国土保全局の山田邦博局長は「激甚化する災害に対してこの事業が完成することで流域の皆さまのより安全、安心な暮らしが実現し、地域の産業や経済活動を支える基盤がより強固になると確信している」とあいさつした。
来賓祝辞で米山隆一知事は「この改修事業は安全安心な県の実現とともに本県のさらなる発展に大きく寄与するものであり、1日も早く完成されることを期待する」と述べたほか、国会議員や長岡市と燕市の市長も祝辞を述べた。
事業計画説明のあと、長岡市立寺泊小学校4年生4人が「大河津分水の役割」をテーマに調べたこと、燕市立分水小学校の5年生2人が「郷土の宝である大河津分水」をテーマに大河津分水からの学びを発表。ステージに大河津分水の映像を流してから来賓など14人でくわ入れのあと、地元芸能のアトラクションも行われた。