大河津分水路の通水100年に向けて燕市立分水小学校(小島和浩校長・児童427人)が「桜並木」と「大河津分水路」をテーマに制作したちぎり絵2点を20日、信濃川大河津資料館に寄贈した。
2点とも縦90センチ、横180センチほどもある畳サイズの大作。「桜並木」は大河津分水路右岸の桜土手をピンクに染める満開のサクラ。「大河津分水路」は信濃川と大河津分水路の分岐点を上流側から下流側に向かって見下ろした風景を描写しており、ちぎり絵ならではの手作り感や風合いが楽しめる、誰の目にも手がかかっていることが見てとれる力作だ。
大河津分水路は、信濃川の洪水から越後平野を守るため、信濃川の水を日本海へ流そうと先人が築いた。その分岐点に近い分水小にとって大河津分水路は燕市分水地区のランドマーク。信濃川大河津資料館は分水小から南へ約2kmに位置する。
分水小では4年生になると大河津分水路を学習する。4年後の2022年には通水100周年を迎る。そのすばらしさを保護者や地域の人にあらためて伝えようと、昨年の文化祭で大河津分水路にちなんだちぎり絵を作ることにした。
小島校長は大河津資料館から写真素材の提供を受け、それを基に絵を描くのが好きな小島校長が自ら下絵を描きいた。ちぎり絵を制作する児童と保護者を募り、昨年10月末の文化祭で約80人がかりで制作。ちぎり絵は和紙人形作りが趣味だった小島校長の亡き母が遺した和紙を使った。
しかし文化祭での1時間半ほどの制作では全体の1割から2割しか作れなかった。その作業を引き継いだのが、4年生の小島あかりさん(10)と皆川桜彩さん(10)。文化祭後から約3、4カ月、ほぼこの2人が日課のように昼休みになるとアトリエ代わりの校長室に通って根気強く制作し、ついに完成させた。
信濃川大河津資料館を管理する国交省北陸地方整備局信濃川河川事務所から通水100年を盛り上げていきたいと話したところ、小島校長からぜひ使ってほしいと寄贈の申し出があった。
20日は大河津分水路を見下ろす信濃川大河津資料館の展望室で贈呈式が行われ、額に入れた作品を飾り、信濃川河川事務所の田部成幸所長名の感謝状を田村利晶副所長から4年生に手渡した。
ちぎり絵の制作について小島さんは「細かい地道な作業でもあきらめずに続けていくと、いつかすごいものができることを学びました」、皆川さんは「(大河津分水が)これからも私たちの生活をずっと守ってくれると思います」と発表した。
小島校長は「こうやってひとつのことを長い時間かけてこつこつやること、粘り強くやることがスポーツの大会で金メダルを取ったとの同じくらい価値があることと思って、このふたりを代表して贈呈式に連れてきた」とふたりの努力をほめた。
田村副所長は、通水100年に向けてふたりが「大きなサポーターとなってますます盛り上げていただけると思っている。小学校に戻ったらみんなにも力を合わせて大河津分水を盛り上げていこうよねと頑張っていただきたい」と期待した。
2点とも大河津資料館に展示するが、分水小の卒業式、入学式が間近いことから、それにふさわしい「桜並木」はいったん大河津資料館から分水小に貸して分水小の玄関に飾る。