燕市など主催の「ジャパン・ツバメ・インダストリアルデザインコンクール2018」の表彰式が23日、燕三条地場産業振興センター・リサーチコアで行われた。
このコンクールは、燕市産品のデザインの高度化と振興を図ろうと1977年に「にいがた県燕市物産デザインコンクール」の名称で始まった。今回で41回目になり、金属洋食器、金属ハウスウェア、関連製品、新分野開発商品で、企画力とデザイン力に優れたオジナリティーあふれる製品を募集した。
今回の応募は金属洋食器・金属ハウスウェア部門44点、関連商品・新分野開発製品部16点の2部門合わせて60点で、過去2番目に多かった。2月19日に審査会が開かれ、グランプリの経済産業大臣賞1点、準グランプリの経済産業省製造産業局長賞1点と中小企業庁長官賞1点、優秀賞の関東経済産業局長1点と新潟県知事賞1点、審査員特別賞2点の計7点の受賞が決まった。
授賞式で鈴木力市長は昨年、行った学生やクリエイターなどを対象としたコンペティション「若mono アイデアコンペティション」の応募作品を企業とマッチングさせて生まれた商品の応募もあり、「若mono アイデアコンペティションとジャパン・ツバメ・インダストリアルデザインコンクールがうまくコラボレーションしながら発展していける可能性を感じた」とし、受賞商品はふるさと納税の返礼品にしたり、見本市に出品したりして「どんどん情報発信し、販売に結びつけていくお手伝いをしたい」と約束した。
来賓祝辞で審査会にも参加した関東経済産業局産業部製造産業課の斎藤昌子課長は「燕の底力を感じるとともに未来に向けて希望のあふれるコンクールだと思った」と述べた。
受賞者代表で新ヤスリ「初爪 HATSUME」でグランプリの経済産業大臣賞を受賞した有限会社柄沢ヤスリの柄沢良子代表取締役があいさつした。柄沢さんは「デザインよりもいかに切れる機能性のある製品を作るかっていうのがわたしどもの使命で、デザインとはいちばん縁遠い世界にいるので、本当にわたしどもでいいのか」と戸惑いも話した。
今回の受賞には3つの喜びがあると話した。それは、やすりという地味な分野に光を当ててもらったこと、2年前にこの商品を燕市の補助金を受けて製作するときに励ましてくれた審査委員長でもある長岡造形大学の豊口協名誉教授に受賞を報告できたこと、審査員でもある黒川建築設計事務所代表の黒川玲さんからデザインをいろはから教えてもらったこと。「これからもこの受賞を励みに精進してまいりたい」と述べた。
講評で豊口名誉教授は、高齢化社会を迎えるなか「去年とことしのコンクールの出品者の製品は時代の流れを的確につかんでいる」、「時代の変革をどう捕まえるか。これがこれからのものづくりの場に非常に重要になってくると思う。それを非常に的確に燕の地場の企業はすでにつかんでいる」と高く評価した。