三条市は30日午前9時から市役所で、平成29年度退職者辞令交付式を行い、31日付で退職する定年退職32人、普通退職2人と人事交流など5人を含む職員39人に辞令を交付した。
国定市長が辞令書を読み上げ、ひとり一人に「長い間お世話になりました」と言葉を添えて手渡し、続けて「これからもがんばってください」と花束を贈った。辞令書を受け取った職員は、理事者と列席した180人ほどの職員に一礼し、「長い間、本当にお世話になりました」、「この日を迎えられたのは、皆さまのおかげと感謝しております」と伝えた。
国定市長はあいさつで、「組織というのは人によってはじめて成り立つもの。1つのピースが欠けたとしてもその組織は前の組織のようになりません。皆さまのお一人おひとりの力がなければ、今の三条市の組織は成り立たなかった、この組織がなければ今の三条市の形はなかった」、「今日はあらためてご自身の社会人としての歩みを振り返って頂き、誇りをもって次のステージ、次の人生に邁進していく原動力にして頂ければと思っています」と、退職者一人ひとりの功績に敬意を表し、感謝の言葉を述べた。
退職者を代表して、大平勲総務部長が国定市長を前に謝辞を述べ、国定市長は何度も何度もうなずきながら聞いた。「37年前の4月1日、今日と同じように晴れの清々しい朝を迎え、同時に、仕事を続け、幸せな人生が送れるよう期待に胸を膨らませて初めて登庁した日を今でも覚えています。そして、今日も清々しい朝を迎え、大変お世話になったすべての皆様に長く勤められた感謝の気持ちをもって最後の登庁をしました」と、これまでの公務員人生を振り返った。
退職者それぞれの思いはたくさんあると思うとし、自身については、五十嵐川改修事業、三市町村合併事務、生活関連施設建設事業、小中一貫教育推進、小中一体校建設、最後は高等教育機関の開設準備など多くの事業に携わり、「今、いろいろな思いがございます。その時の苦労や事業が完了した時の達成感など数多くの思いが胸に去来します」。
なにより思い出される事業は、環境課時代に携わった公共交通と述べ、「あのときに国が地域公共交通活性化再生法を施行し、三条市が第1号の計画策定の認定を受け、その後いろいろ苦労させて頂きましたが、さまざまな社会実験を行いながら、おそらく全国では初めてであろうタクシー車両を使ったデマンド交通システムを導入し、結果として大臣表彰を頂くことにもつながりました。そして今では、三条市の取組が多くの市町村で同じように行われ、高齢者の足として安心して移動できる環境に繋がっていることを思えば公務員冥利に尽きるところです」。
「そして7.13水害」。「市長さんは、国の出向職員として勤務をされていました。被災者の安否確認の最前線で仕事をさせて頂き、そもそもの行政とはなんなのかということを身を持って感じさせて頂きました。そして偶然会った街で、「二度とあのような苦しい思いを、つらい思いを三条市民にさせてはいけない」と誓い合ったことは今でも覚えております。私はあれからずっとそのことを考えて仕事をしてきました。ただ、こうして市長さんを前にしますと、本当に約束を守ったと言いきれる私ではないですが、ただ、何があろうと常に前を向き、へこたれず、笑顔を忘れずに、さまざまな取り組みを行ってきましたことは認めて頂ければ、この上ない幸せです」。
さらに、「天秤は、まさに肯定感の方に傾いております。今こそ、魅力的なまちづくりをさらに推進する正のスパイラルに乗せるときだと思っております。その原動力は、このまちが好きだという三条市民と、後輩のみなさんです。どうか、いつも学び、自信をもって、誇りをもって、最後は責任をもって仕事をしていただくことを望んでいます」とメッセージを送り、感謝の言葉と三条市の発展を願い、締めくくった。
退職者は列席者の盛大な拍手に送られて退場し、各課へのあいさつや記念撮影のあと、理事者や関係部長らとの会食をして退庁した。