三条市の下田地域を拠点に活動する「地域おこし研究員」1人と旧栃尾市出身の元広島東洋カープ投手の今井啓介さんはじめスポーツ選手の経歴などをもつ4人が「地域おこし協力隊」として着任し、2日、国定勇人三条市長にあいさつした。
地域おこし研究員は、東京都世田谷区から転入した新潟市出身の平紀和さん(53)。地域おこし協力隊は、埼玉県さいたま市出身の五十嵐統哉さん(20)、長岡市出身の斉藤匠さん(28)、千葉県市川市出身の末宗奈穂さん(25)、長岡市出身の今井啓介さん(30)。
5人は正午前に市役所を訪れ、国定市長に自己紹介し、抱負を述べた。今井さんは2005年に中越高校からドラフト2巡目で広島東洋カープに入団し、昨年10月に引退。「三条、下田の地域の活性化に協力できるように頑張っていきますのでよろしくお願いします」と話した。
斉藤さんは、18歳から2年間、トルシエ監督が総監督だった沖縄のFC琉球などで活躍したサッカー選手。「サッカーとフットサルで子どもたちに夢や希望を与えたい」。五十嵐さんは昨年、7人制サッカーの日本代表を務めた。「サッカーで子どもたちに魅力を伝えて、地域活性化につなげていきたい」。末宗さんは下田地域に移住して滞在型職業訓練施設「しただ塾」を3月で修了し、下田の魅力にひかれて今度は地域おこし協力隊として引き続き下で活動することにした。
研究員の平さんは慶応大学大学院生で、株式会社ヴィットリアジンテーゼ代表取締役。首都圏の大学野球が三条市や長岡市に滞在して試合を行う大学野球サマーリーグを「まずは盛り上げて日本を代表するアマチュアスポーツのイベントにするべく頑張る」、「ことしから早稲田も参加するので、早慶戦が新潟の地で開催されることになる」と話した。
地域おこし研究員は、慶応大SFC(湘南藤沢キャンパス)と全国各地の地域が連携して推進するプログラムで、地域の現場で実践的な研究開発を行う大学院生などを自治体などが任用。慶応SFCからの研究指導や支援のもとで、地域に新しい基軸を実現するテーマを設定して活動し、地方創生の実学を推進しながら、地域が抱える課題を多様な主体の協同や連携を実現することで、ともに解決することを目指す。三条市は2017年8月に連携協力協定を締結。「スポーツまちづくり」のテーマなどで同研究員を募集し、平さんで2人となった。
国定市長は「皆さん自身の活動の良しあしが、これから先の下田郷づくりに本当に影響すると思っているので、そこだけは自覚をしっかりもってもらいたい」と引き締めた。
地域おこし協力隊が活動するNPOソーシャルファームさんじょうに所属するアスリートと、トップアスリートの引退後について話すなかで、「活躍して僕たちに夢を与えてくれたその人には引退後の長きにわたる人生が待っているわけで、そこを恩をいただいたのに、エネルギーをもらったのに、すっかり忘れて新しい活躍している選手にいくのが、しっくりいかない」と疑問を示した。
下田は「トップアスリートのセカンドキャリアの聖地でもあるべきだと思っております。そういう意味では、皆さん自身がその分野を開拓しているフロンティアですので、しっかりと素地をつくってもらえればと思っています。ぜひ頑張ってください」と期待した。
三条市の地域おこし協力隊は今回の4人が加わって下田地域17人、まちなか3人の計20人となった。契約は1年で更新は最大で3年。