新潟市西蒲区の旧巻町・福井集落に江戸時代から建つ築250年になる古民家「福井旧庄屋佐藤家」で、20年ぶりにかやぶき屋根のふき替えが行われている。
福井旧庄屋佐藤家は集落に唯一、残るかやぶき屋根。この土地で受け継がれてきた暮らしや文化を守ろうと、1998年からNPO法人福井旧庄屋佐藤家保存会(平岡一郎理事長)が保存活動を行い、今では地域外から訪れる人も多く、いろりやかまども含めて利活用されている。
修復作業は3月20日から行われており、工期は約1カ月間を予定する。作業は地元福井に住むかやぶき屋根職人の金子彦治さん(88)を親方に4人で行い、燕市内に自生するかやを使い、屋根の下の方から上へ向かって古いかやを新しいかやに置き換えている。
保存会事務局の斉藤文夫さん(85)は、金子さんのことを「この家を保存しようとしたのは、この人がいたから」と言う。金子さんは新潟市西区にあった酒蔵「伊藤酒造」で16歳から酒造りを27年間、杜氏(とうじ)も務め、酒類鑑評会で10回以上の受賞歴がある。
そのかたわら10月末から4月末までの酒造りの期間以外はかやぶき職人としても働いた。南魚沼市の目黒邸をはじめ県内各地に残るかやぶき屋根の修復を手掛け、石川県や岐阜県へ出向くことがあった。茅葺(かやぶき)職人として新潟県文化財保護条例に基づく認定技術職人になっている。
金子さんは以前から佐藤家の屋根修復を行っており、保存活動を始めた年に佐藤家の屋根修復に当たった。それからちょうど20年。再び老朽化して雨もりも起き、放置すれば修繕が困難になることからふき替えを行うことにした。
屋根の状態について金子さんは「最低ですね。木が伸びて9尺くらいかやが抜けてる所がある」。しかし、梁(はり)や柱には問題がなく、ふき替えれば「元通りに戻る」と言う。
90歳近くなる金子さんは、かなり前からふき替えをすることはめったになくなり、今回は久しぶりの作業。「腰が曲がってだめなんだ」と言いながら「屋根に上がれば、わーけもん(若い人)に負けね」と笑う。
20年前の修復費用は後払いで、斉藤さんの知り合いの芸術家による作品のオークション、地元の人たちによる古着やせとものの販売、コンサートやひとり芝居の売り上げ、団体による表彰の賞金、補助金などで工面した。
今回は300万円を目標に寄付でまかなおうと募金を行っており、1口3,000円から寄付を受け付けている。費用の5%を協力したいと15万円を寄付した県外に住む地元出身者もあり、これまでに250万円ほどが寄せられた。4月30日まで引き続き寄付を受け付けている。寄付はゆうちょ銀行への振り込み、インターネットでのクレジットカードやコンビニ決済での支払いで受け付け、佐藤家へ持参してもいい。寄付の方法は次の通り。
■銀行振り込み
ゆうちょ銀行
金融機関コード:9900
店番:059
預金種目:当座
店名:〇五九店(ゼロゴキュウ店)
口座番号:0093260
名義:特定非営利活動法人 福井旧庄屋佐藤家保存会
■インターネット
以下のリンクから
茅葺き屋根修復ご寄付 | NPO法人福井旧庄屋佐藤家保存会
■直接
福井旧庄屋佐藤家 〒953-0076 新潟県西蒲区福井1908へ