15日に行われる弥彦村に春の行楽シーズンを告げる「湯かけまつり」を前に4日、湯曳き車(ゆひきぐるま)をJR弥彦駅前に設置してまつりムードを盛り上げている。
厄除開運、無病息災、学業成就などを祈り、弥彦観光の発展とにぎわいを祈願する弥彦観光協会主催の春の恒例行事。湯神社から神湯をいただいて湯曳き車に載せ、 木遣りと妓芸による踊りをまじえて町内を回る。
午後1時前から駅前で出発式を行って出発。一般参加できるのも好評で、湯曳き車の綱を引いて行列に参加できる。午後3時に弥彦神社に到着し、最後の御湯担ぎ入れでハイライトを迎える。弥彦公園周辺のサクラの開花期にあわせて開いており、花見客も参加して年々、人出を増やしている。
湯かけまつりのPRにと毎年、本番に先立って湯曳き車を駅前に設置している。4日は午後から湯かけまつりを主管する弥彦神社氏子青年会の会員や弥彦神社と村の職員など20人ほどが参加し、弥彦神社そばの祭器具庫から1年ぶりに朱塗りの湯曳き車を出し、ササを積んだ弥彦神社のトラックの先導で湯曳き車を押して移動させた。
駅まで最短距離の今では裏通りとなった参宮通を通って運んでいるが、ことしは工事中で通れないところがあるため、温泉街の神社通り、外苑坂通り、停車場通りを通って弥彦駅に到着。駅舎を出て右手に設置し、神湯を入れるおけの四方にササを立て、紙垂(しで)をつけるなどして作業を終わった。会員はまつり好きばかりで、まつりが迫っていることを実感し、話がはずみ、笑顔があふれた。
外苑坂通りに面してグランドオープンしたばかりの弥彦の新しい観光拠点「おもてなし広場」前は人出が多く、目の前を進む湯曳き車に地元の人は湯かけまつりの季節の到来を知り、村外からの客は何ごとかと湯曳き車を眺めていた。
弥彦神社氏子青年会の会長は昨年、会長に就任して2年目の会社役員三方剛さん(39)。第15代会長で弥彦村中割出身、今は三条市に住む。昨年は雨が降る花冷えの湯かけまつりだった。三方さんは「ことしは晴れてにぎやかに、けがなくできればいい」と何よりも好天を願う。
会員には雨男とちゃかされるが、最近は改善の兆しがあるとの声も。この日も湯引き車の移動中にみるみる天気が下り坂になったが、設置が完了したとたんに雨が降り始めてぎりぎりセーフ。本番も雨を免れて雨男返上といきたいところだ。
反面、昨年は天気に見放されたものの、満開のサクラが祝福してくれた。しかしことしは記録的なほど開花が早く、すでに駅前のサクラは見ごろ。弥彦公園の大木のサクラもすでに咲き始めており、来週末には葉桜必至なのは仕方ない。
「初めてだったので、至らないところをあげたらきりがない」と三方さん。とくに雨のせいで段取りが変わったのに、うまく対応できなかったことを悔やむ。「もっと臨機応変に対応できればよかった」と反省し、「時間が余った場合どうするか。いろんなこと想定して、時間が余った場合はこうするっていうのを段取っておきたい」と話した。