燕市に花咲く春を告げる「つばめ桜まつり」のメーン行事、分水おいらん道中が15日行われた。荒天に見舞われて2年ぶりに分水総合体育館での屋内開催となったが、おいらんを役はじめ総勢約70人で編成する行列の豪華けんらんな花絵巻を延べ約3千人がうっとりと見物した。
分水おいらん道中は、ことしで第76回となった分水地区の伝統行事。越後平野を洪水から守る大河津分水路の完成記念に堤防に2,600本のサクラが植えられた。その観桜の余興で始めた仮装行列が分水おいらん道中へとつながった。おいらん道中はサクラ咲く大河分水桜並木と分水地区商店街の地蔵堂本町通りで行われ、天気が悪いときは分水総合体育館で行っている。
以前は天気が悪い予報のときは当日になって屋内に開催とするかどうかを判断したが、青空市「ツバメルシェ」の同時開催などで規模が大きくなったこともあり、前日午後4時に屋内開催にするかどうかを判断することなどをマニュアル化を進め、今回は初めて前日のうちに屋内開催を決めた。
おいらん役は公募して選んだ3人。ことしは40人の応募があり、信濃太夫を新潟市の大学3年生清野咲希恵さん(21)、桜太夫を燕市の会社員金原美希さん(24)、分水太夫を東京都足立区の鈴木美帆子さん(28)が務めた。
おいらん道中は午後から3回、見物客は完全入れ替え制。予報通り外は雨風で、1回目は千人近くが入場した。おいらん道中は時計回りに体育館を2周。おいらんの隣りでおいらんを支える「幇間(ほうかん)」、後ろで傘を差す「傘持ち」がワンセットで、それに「手古舞(てこまい)」、「新造(しんぞう)」、「提灯(ちょうちん)持ち」、「みどり」、「かむろ」、「舞妓(まいこ)」が加わった。
ステージで生演奏する三味線と太鼓のはやしが響くなか、行列は美しさを誇るようにゆっくりと進んだ。何度か途中で進行を止め、外八文字と呼ばれる足運びを披露した。あでやかなおいらん役が足先で外八文字を描くようにげたを寝かせて大きく外側にふりだしてゆっくりと体の前へ運ぶと、見物客から大きな拍手がわいた。
また、あいさつした鈴木力市長は、せっかく大河津分水桜並木の桜はまだ見ごろを保っているのにそこでおいらん道中ができないのは残念だが代わりに屋内では間近で見られるというメリットを強調。言葉通りにすぐ目の前を進む行列を見物客は食い入るに見詰め、しきりにカメラのシャッターを切る人や行列を背景に自撮りする海外からの観光客も目立った。
また、おいらん道中の前には燕市吉田北地区のご当地ヒーロー「メテオレンジャー」の替え歌や大河津分水路を愛する団体「Love River Net」が大河津分水路に関するクイズを出題するなどして盛り上げに一役買った。