弥彦村の弥彦温泉街と弥彦神社で15日、春の弥彦観光の幕開きを告げる湯かけまつりが行われた。雨と強風に見舞われるあいにくの天気だったが、神湯(かみゆ)を載せた湯曳(ゆひ)き車を一般参加者も一緒になって引き、かけ声も威勢良く練り歩いた。
午後から駅前を出発して停車場通り、外苑坂通り、神社通り、そして弥彦神社まで約1キロを進んだ。行列を主導するのは、弥彦神社氏子青年会(三方剛会長)。コール&レスポンスのように「えんやー!」のかけ声とともに湯曳き車の前後にある綱を引いて進んだ。
あわせて白丁を着た会員は、厄除開運、無病息災、学業成就などのご利益があるとされ神湯を含ませた青笹を沿道の見物客に頭から払いかけた。一般参加も一緒に綱を引いたが、湯曳き車の後ろについた後綱を引く氏子青年会が再三、いたずらして逆方向に綱を引き、綱引きのようになって盛り上がった。
途中で湯曳き車を止めて木遣り、たる太鼓、盆踊りも。弥彦神社境内に入ったら階段を上る手前の手水舎(ちょうず)のところで神湯を湯曳き車から3基のみこしに移し、そこから舞い込むように拝殿前まで駆け上がる。最後にみこしを激しくもみ、参拝して終わり、神湯は参拝者に配布した。
湯かけまつりは30年余り前、弥彦衰退の危機感から活気を取り戻そうと始まった弥彦オリジナルの行事。ことしで32回を数えた。弥彦の花見シーズンにもあわせており、ことしはサクラの開花が早く葉桜になるのではと心配されたが、弥彦公園のサクラは散り始めと踏ん張ってくれた。
しかし昨年に続いて荒天に見舞われた。風がピークに達したころは旗持ちが風で前に進むことができなくなって、しばらく足止めされることもあった。その割には見物客が多く、多いときで200人近くが綱を引いた。燕市から友だちと訪れた女性は「血が騒ぎます」とキャッキャ言いながら声援を送っていた。
昨年、弥彦神社氏子青年会の会長に就いた三方会長は、昨年に続く荒天で雨男の返上とはいかず、最後のあいさつで「本日は大変いい天気なか」と笑わせながらも「無事にけがもなくこれたのも大神さまのおかげと思います。天気も恵みの雨、雨降って地固まるということで」と関係者に感謝した。