三条市と加茂市にまたがる名山、粟ヶ岳(1,293m)で全長5.5km、標高差1,000mを駆け上がる速さを競う「2018スカイランニング日本選手権 粟ヶ岳バーティカルキロメーター」が21日、三条市・日帰り温泉「いい湯らいてい」を拠点に開かれ、国内のトップ選手ら72人が出場した。来年はここでワールド・サーキットの開催を目指しており、幸先のいい夏を思わせる絶好の好天に恵まれた。
粟ヶ岳バーティカルキロメーターは、見附市に本部を置くトレイルランナーズ代表の松永紘明さんのレースプロデュースで開かれ、ことしで3年目。男子61人、女子11人が出場し、それぞれ高校生、18歳以上49歳以下、50歳以上の3部門でタイムを競った。
あわせてトレイルランナーズカップ三条大会も開かれた。スカイランニングは垂直方向に高低差のある場所が舞台なのに対し、トレイルランニングは未舗装路を水平方向に走るのが基本。トレイルランナーズカップ三条大会は里山を走る2コースあり、4kmに54人、15kmに109人の163人が参加。それぞれ男女別で一般と50歳以上の2部門で競った。
この日は三条でことし最高の気温27.8度を記録する夏の暑さとなった。開会式では松永さんと新潟住みます芸人で地元下田地区出身の関田将人さんが盛り上げた。あいさつで国定勇人市長も来年はワールド・サーキットの開催を目指すとぶち上げた。
そして何よりも盛り上げに貢献したのは、下田中学校。生徒222人が総出でボランティアを務めた。開会式には吹奏楽部をはじめ222人が参加し、吹奏楽部の演奏で選手名の部分を「スカイランナーズ」に替えて応援歌を披露し、やんやの拍手でわいた。ほかの生徒もコースの各地で選手を待ち受け、ペットボトルをたたき、「頑張れー!」と声援を送った。
生徒だけでなく先生も応援したが、その先頭に立ったのがリーゼントの熱血漢、八木義克校長(55)。「先生は生徒のようすをしっかり見てもらうので、いちばん暇な私が」と自らトレイルランナーズカップの4km一般男子の部に出場し、26分50秒のタイムで23人中16位でゴールした。まさに玉の汗でゴールし、「いやー、きついですね。アップダウンがすごいので。ちょっと考え方が甘かったです」と笑った。
ことしから実行委員になり、「全日本選手権レベルの大会を一生のなかでもめったに見る機会がないので、本物を見せたい」と全校でボランティアに当たることを決めた。「子どもたちが場を与えるといろんなところで活躍してくれる」と言う。八木校長が下田中に赴任した昨年から学校で「日本一」というスローガンを掲げている。ことしのスローガンはさらに具体的に「私がやる日本一」で、自らも走ることで実践してみせた。
県央地域からバーティカルキロメーターに参加した人もいる。燕三条地場産業振興センターで働く長岡市の平賀仁さん(55)もそのひとり。年に3、4回、トレイルランニングのレースに参加しており、昨年のこの大会では今回は設定がなかった27kmを走るスカイランナーズに出場している。
健康診断の結果が悪かったからと走るようになって5年目、トレイルランニングは4年ほどのキャリアになる。「山は気持ちいいですよ。ロードは走ってたらみんなライバルだけど、山は走ってる最中もいろいろ話ながらできる」とその魅力を話す。
「雪がなければ1時間30分くらいを目指してますが、もうちょと遅くなるでしょう」とスタートしたが、ほぼ予想通りのタイム1時間55分24秒で16人中13位でゴールした。
燕市の蓑口めぐみさん(25)はトレイルランニングの大会で主催者の松永さんやこの大会9位だった松本大さんに誘われて出場したが、「アジアで戦う人たちばっかりで、地元でしか活動していない人間には場違いで」と苦笑い。昨年、粟ヶ岳をふつうに登山しているが、「5kmという距離を走れるかどうか。まったくイメージができない」と不安いっぱいだった。
しかし結果は1時間17分36秒で、18歳以上49歳以下女子で5人中3位という快挙を成し遂げた。
競技の結果、18歳以上49歳以下男子はこの大会で2連覇している皇帝、宮原徹に1分余りの差をつけて上田瑠偉が52分40秒で優勝。18歳以上49歳以下女子ではスカイランナーワールドシリーズ3位の高村貴子が1時間11分22秒で優勝した。各部門3位以上は次の通り。敬称略。
|
|
(佐藤)