旧燕青年会議所のOBを中心に25年ほど前に発足した燕市を愛する有志のグループ「夢工場」(高橋正行工場長・11人)。まちづくりのためにまず自分たちが燕市を良く知ろうと1997年にビデオ「槌音の響く街」(48分)を制作した。20年あまり、燕の食をテーマにした2作目「のっぺ・おおびらの歌がきこえる」(28分)を制作し、28日(土)午後2時から燕市中央公民館3階中ホールで上映会を開いてお披露目する。入場無料。
新潟の正月の郷土料理「のっぺ」を、燕では「おおびら」とも呼ばれ、それがタイトルに。のっぺの具材のイクラを「とっと豆」と呼ぶ人もあれば、貝柱や塩引き鮭を入れる家庭もある。
別の料理かと思うほど家庭によって具材も味付けもまちまちなのっぺのレシピを紹介する。ほかにもタケノコの煮物や笹団子も取りあげ、それにまつわる思い出を20人を超す市民にインタビューして語ってもらい、食を通して市民目線の燕の生活文化をひもといてみせる。
挿入歌の「おおびらの歌」や「背脂の歌」は、1作目に続いて会社役員矢代秀晴さん(54)が書き下ろして歌っている。上映会では1作目の上映と矢代さんによるミニコンサートもある。
1作目は、燕市の産業の歴史、職人にフォーカスした。93年から実に4年の制作期間をかけて97年に完成し、大きな反響を呼んだ。その後もずっと2作目を期待する声があり、3年前に制作に向けて腰を上げた。
工場長の会社役員高橋正行さん(66)は1作目について「素人ビデオなので大したことない、まあまあのできだと思っていたが、文化会館での上映会で非常におほめの言葉をいただいた」。その後も公民館など7カ所で上映会を開き、当時の手応えの大きさを振り返る
1作目が男目線だったので、2作目は女目線がほしいという声もあって食を切り口にしたが、「燕独自の食が少なく、インタビューを受けてしゃべってくれる人がなかなか見つからなかった」と高橋さんは制作の苦労を話す。完成した作品には「年を取ったな。年相応な作品になったと思う」と言う。
サブタイトルは「紡いできたもの、繋ぐ味」。「食を通してふるさと燕を盛り上げたい」と願っている。
(佐藤)