三条市のまちなかに築90年を超す洋館風の魅力的な旧医院がある。その建物本来の魅力を生かしてリノベーションしたカフェ「LAND.(ランド)」が26日、プレオープンした。
この建物は三条市旭町1にある旭町通りに面した旧伊藤医院。三条市役所方向から弥彦線高架をくぐって約80メートルの右側にある。1927年(昭和2)建築の木造2階建てで、窓のある観音開きの玄関ドアや格子の窓ガラスなどが洋館の趣きを演出しており、手芸店に利用されたこともある。
内部は大幅にリノベーションした。玄関を入ると奥に続く中央の廊下をはさんで左右に部屋があったが、部屋の壁の多くを取り払って開放的な空間に生まれ変わらせた。廊下には木を立てて道路に見立て、左右にオープンカフェが広がる屋外のような空間を演出。医院だった時代からあるアンティークな棚もそのまま生かした。
メニューはオリジナルの深煎りコーヒー、自然農法で栽培された茶葉を使ったオリジナルハーブティー、黒豆茶、ミルク、りんごジュース。食べ物はライスプレート、ワッフルプレート、ドライカレー、チキンライス、ポークソテーなどを用意。料金はやや高めだがその分、リラックスしてゆったり過ごせるスペースを提供しているのが魅力。約50席ある。
三条市塚野目、L&B YOSHIDA税理士法人の吉田匡美さん(60)が飲食関係の顧客にコンサルティングやアドバイスをする機会があり、より専門的なノウハウを学ぼうと昨年6月にフードアドバイザーの資格を取得。通勤で毎日、旧伊藤医院前を通るたびにここでカフェを開きたいと思うようになり、一緒に働いていた娘、息子の嫁と3人でカフェに取り組もうと昨年8月から準備を進めた。吉田さんは「人が集まれる場所にしたい」、「本物の素材にこだわった飲食を提供したい」と話す。
設計したのは三条市居島、イイヅカカズキ建築事務所。代表の飯塚一樹さん(40)は「建物のもつ本来の良さ、力を最大限に生かしたいと思った。外の空間を演出し、人がつながるような場所になったらうれしい」と話している。
本格オープンは28日。当面は定休日は設定せず、毎日午前10時半から午後4時まで営業する。問い合わせは同店(0256-55-5438)へ。
(佐藤)