長岡市栃尾美術館では5月27日まで長岡市出身の彫刻家、近藤邦雄氏(1949-96)の遺作展を開き、イタリアなどでも活躍しながら交通事故のため47歳の若さで不慮の死を遂げた近藤氏が遺した作品約50点を一堂に展示している。
近藤氏は長岡市神田町に生まれ、長岡高校から愛知県立芸術大学を卒業。米国のポートランドへ留学しようとしたが、入学前に取りやめて帰国し、名古屋市で制作を続けた。
77年にイタリアに渡り、ローマの陶芸工房で働くようになってそのまま移住。82年からエッチング版画にも取り組んだ。88年に帰国した後は埼玉の自宅に住み、家具の制作、水槽のデザイン、美術展の会場構成など幅広い仕事を手掛けたが、96年に埼玉の自宅近くで交通事故に遭い、亡くなった。
展示作品はイタリアへ渡る前の73年から亡くなった年の96年までに制作された作品51点。初期の作品はセラミック、ステンレス、アクリルなど異素材を組み合わせた作品が多く、その後は素材はひとつでも2つの幾何学的な立体が合体したようなデザインが目立つ。
ユニークなのは一部の作品を除いて写真撮影や手でふれられること。とくに木彫は加工方法が謎な作品が多く、そのフォルムと質感のギャップを味わいたくなる作品もあり、ふれる感覚で新たな作品のイメージを感じられるのはうれしい。ほかにも近藤氏のスケッチ、ガラス板、陶板なども展示している。
午前9時から午後5時まで開館、発券は午後4時30分まで。月曜休館。観覧料は一般400円、大高生200円、中学生以下無料。問い合わせは長岡市栃尾美術館(0258-53-6300)へ。
(佐藤)