町内に三条市・八幡宮(藤崎重康宮司)がある八幡町自治会(池田健治自治会長)は、15日に八幡宮の春季大祭、別名「三条祭り」に伴う三条大名行列の天狗(てんぐ)の練習が行われる6日から12日までの夜、練習場所の八幡宮参道に続く八幡小路にあんどんを設置している。
あんどんは市内の金属加工業者が枠を設計、加工、塗装した。四角錐の上を切った錐台(すいだい)という形で高さ30センチ余り、上底が一辺20センチ、下底が一辺十数センチの正方形。そこに主に町内の女性が絵や文字をデザインした三条市下田地区に伝わる「大谷地和紙」を張った。
絵は手描きのフジ、リンドウ、ヒマワリの花。消しゴムはんこで作った天狗の面、三条市のマンホールのふたを版画の要領で写し取ったものも。八幡宮の前から20メートルほどの区間の八幡小路の両側に並べ、中にLEDライトのあかりをともした。
6日はその点灯初日のこともあり、町内の人たちもぽつぽつと見物に訪れ、暗くなるととともに図柄が発光するように色鮮やかに輝くと「思ったよりきれい」。その光の通路で天狗の練習が続き、新しい三条祭りを待つ風景が生まれていた。
八幡町自治会は4年前から町内の小路に花を植えたプランターを置いて魅力発掘事業に取り組んでいる。ほかに新たな取り組みをできないかと、あんどんの設置を行ったもので、12日まで雨が降らなければ午後5時半から7時ころまで点灯する。
一方、天狗の練習を行っているのは、三条道祖神会(石崎勝海会長・会員22人)。6日は午後6時半から練習を始めた。高さ約60センチの一枚歯の高下駄をはいて歩くのはバランスをとるだけでも難しい。加えて高下駄を前へ跳ね上げて歩くと体力を消耗し、八幡小路の往復するとほおを赤くして方で息をする人もいた。
三条道祖神会には、昨年に続いてことしは新会員が加わった。石崎会長自身も75歳になり、「もう3、4人は会員がほしい」、「なにぶん歩くに足が痛いの、ケツが痛いのでは話にならない。逆に若い人がたくさん入って早く隠居しなさいと言ってほしい」。
新人は三条市東鱈田に住む田邊北斗さん(24)。初めて高げたをはいたばかりのときは、両脇を先輩に支えられても立っていることさえままならなかったが、練習終盤では早くもスムーズに足を運べるようになっていた。
祖父も三条道祖神会会員で代々、会員を務めてきた血筋。「毎回、三条祭りを見てたので、簡単かなとは思っていないですけど、できるかなと思ったらやっぱりなかなか難しくてすごく緊張して手が疲れたり、足が疲れたり」と息が上がっていた。
入会したのは、東京の大学を卒業してUターンし、「せっかく三条に住んでますし、伝統のものなので」。当日は「まずはこけないようにいきたい」と言い、「三条祭りのような行事で三条が盛り上がっていければ」と願っていた。
また、この天狗の練習と三条大名行列を先導する奴(やっこ)を演じる三条先供組合の練習を見学できる燕三条まちあるき「三条祭りができるまで〜裏側を巡る夜散歩〜」(参加費千円)が12日午後6時15分に三条市・ステージえんがわ集合で行われる。申し込みや問い合わせは燕三条地場産業振興センター燕三条ブランド推進課(0256-36-4123)へ。
(佐藤)