15日の三条祭りで行われる大名行列の本番を前に、行列を先導する奴(やっこ)を演じる三条先供組合(赤坂一夫会長・49人)が、10日夜から三条ものづくり学校で本格的な練習を開始する。
10万石の格式とされる三条の大名行列は、江戸時代に始まったとされ、毎年、400人近い編成で15日午後0時45分に八幡宮を出発する。その行列の先頭の鉄棒と露払いに続くのが、先供(奴)。大名行列とともに「先供(奴)祭り囃子」として三条市の無形民俗文化財に指定されている。
同組合によると、先供が行列に加わった年は、はっきりとはわかっていないが、現在、記録として残っている「奴組合帳」によると、1931(昭和6)年から掲載が始まっており、本年が87年目。
そのうち、1943(昭和18)年と44(昭和19)年は「大東亜戦争空襲ニテ御順行ナシ」と記録されており、戦争のためこの2回は行列は行われなかったようで、今回が85回目の御神幸のお供となる。
歴史を繋いできた同組合だが、ことしは当初、行列本番に参加できる会員数が、交代要員を入れない最低数の26人に届かなかった。いざというときは、道具を減らして行列に参加することを考えたが、行列全体のペースを作りだすという、なくてはならないパート「先箱(さきばこ)」の人数が不足した。
2人が対となって進む奴のなかで唯一4人で1組となるところが参加表明は1人だけで、戦争以来の不参加も懸念されたが、会員の協力と新人4人の入会により、ことしも行列への参加が無事に行われる。
当日は、20歳から60歳代の会員34人が参加する予定で、女性2人がサポーターとして同行する。行列に参加する会員には、毎年、組合の手ぬぐいが配布されており、行列中は胸元に入れて汗拭きとして、クライマックスの舞込みのときには、頭に巻いて登場する奴。ことしの参加は間に合わないが、来年に向けて興味のある人は練習を見学にいってはどうだろうか。
三条先供組合の練習は、10、11、12日の3日間。午後7時から2時間ほど、三条ものづくり学校のグラウンドで行われる。雨の場合は、10日は同施設の体育館、11と12日は旧第一中学校体育館に変更する。
(坂井)