田上町の佐藤邦義町長(79)が21日、任期満了で退任したのにあわせて小日向至副町長(67)と丸山敬教育長(76)も辞職。午後5時から町役場で三役合同の退任式が行われた。
佐藤町長は5期20年にわたって町政をかじ取りした。昨年暮れの引退表明で当時町議だった今井幸代氏(33)を後継指名したが、6月3日の町長選で後援会長だった佐野恒雄氏(71)に敗れた。小日向副町長は2期6年、丸山教育長は3期9年6カ月、それぞれの職を務めた。
佐藤町長「公約のほとんどに手を着けた」
退任式で集まった職員を前に佐藤町長は、財政難から「給与カットを3年ぐらいカットさせていただいて今がある」と職員に感謝した。
「公約のほとんどに手を着けた」と自負した。水害対策、学校、403号バイパスもこれから数年で完成し、「大体のことはできた」が、ただひとつできなかったのことに下水道事業をあげた。
職員には「田上町はこれからなので、これからも町民のため皆さん頑張っていただければ」と託し、「退職しても田上町にはしばらくの間は住んでいるので、なにかありましたらお声がけを」と述べた。
小日向副町長“町民が選んだ新しい町長のもと団結して”
元田上町職員の小日向副町長は「職員の時代から20年間、佐藤町長のもとで身近でまちづくりに一生懸命、仕事させていただいた」とし、403号バイパスの開通、本田上工業団地の企業誘致を完了、建設中の交流会館など「20年かけてやってきた事業がようやく実を結ぶような状況になっている」と述べた。
「どうか皆さん、20年間かけて佐藤町長が築きあげたこの花の種を、みんなで大切に育てていただき、わずか1万2千人という小さな町だが、町民が選んだ新しい町長のもと団結して、田上町がこれからますます飛躍することを願う」と新体制にも期待した。
丸山教育長“小粒でもきらりと輝く田上に”
元高校教諭で田上町教育委員をへて教育長となった丸山教育長は、キャリア教育の取り組みで昨年、田上町教育委員会が文部科学大臣表彰を受け、コミュニティースクールは12か年教育のシステムを生かしてこの4月から両小学校を中心に中学校で取り組みがスタートし、社会教育関係では雨漏りするような公民館が地道な活動でこの3月に文部科学大臣表彰を受けたことを話した。
「少子高齢化が急速に進む。未踏の時代に入ってきている。思い切った斬新なアイデアでこれからのまちづくりに取り組んで行かなければならない」とし、「新しい酒は新しい革袋に盛れ」という言葉を引用。「急ではありましたが、きょう付けをもって退任する」、「皆さまがたにご迷惑をおかけすることをお許しいただきたい」と、道半ばの無念さもにじませ、「この田上町をすばらしい誇れる、まさに小粒でもきらりと輝く、そういう田上にぜひつくりあげていただきたい」と述べた。
このあと玄関ホールで職員による見送りが行われ、職員から3人にそれぞれに花束を手渡し、大きな拍手のなか3人は役場をあとにした。あいさつで涙腺が弱くなったと話し始めた小日向副町長は声を震わせることもあり、三役が庁舎を出たあとは涙を流す職員もいた。
(佐藤)