三条市は24日、7.13水害を教訓にした三条市水害対応マニュアルに基づく水害対応総合防災訓練を行い、関係機関や市民など約2,500人が参加し、水害に備えた。
平成16年新潟・福島豪雨災害で五十嵐川の堤防が決壊した7.13水害の翌年から毎年、行っている。消防を含む市職員、消防団、自治会・自主防災組織、民生委員、市民、中学校生徒、国、県、三条署、ライフライン関係機関、介護サービス事業所など幅広い団体が参加。
昨年、モデル校のみだった中学生ボランティアの参加を全中学校に拡大し、第一中学校115人、栄中学区39人をはじめ約230人の中学生がボランティアとして参加した。
訓練は午前7時から11時前まで行い、昨年までと同様に災害の発生時刻や場所、規模などを事前に知らせないブラインド式。庁外に委託したシナリオに沿って、次々と発表される災害情報に対応し、自助、共助、公助のそれぞれの立場で水害対応マニュアルに沿った災害応援活動を行った。
市役所では国定勇人市長を本部長に災害対策本部・支部の設置、情報伝達などの訓練を行い、あわせて市内の自治会や関係機関などと市の情報伝達訓練、災害時避難擁護者の避難支援訓練、三条防災ステーションの信濃川河川敷で消防職員と消防団などが水防活動訓練、栄、下田の2会場で消防団の訓練を同時に行った。
対策本部では、降雨情報や五十嵐川、信濃川、刈谷田川の水位上昇や越水状況、下田地区で天然ダム発生など次々と提供されるさまざまな情報から、土砂災害や水害など災害の発生を予想し、避難準備・高齢者等避難開始、避難勧告、避難指示と発令していった。
快晴の訓練だったが、朝から繰り返す防災行政無線で繰り返すサイレンや避難の放送、携帯電話のエリアメールの着信など、平常時とは違う緊迫感を与えた。
三条防災ステーションで、土のうづくりなどの訓練に参加した災害協力事業所の三条化工(株)=中新=の40歳代の男性は、7年ぶり2回目の参加。土のうのひもの結び方などを「忘れてしまって、だんだん思い出しました」と話した。同社では、9月の防災の日にあわせて災害や火災に関連した訓練を行っており、土のうづくりもそのメニューにあるという。また、7.29水害では会社脇の幅2メートルくらいの川が氾濫し、土のう積みを実践することになったが、間に合わず、その後、いつでも対応できるようにと会社敷地内に土のうを置いていると話していた。
汗を流しながら訓練する消防職団員の訓練場を国定市長が訪れ訓示を行った。ことしは毎年以上に異常な降雨状況で、個人的にはと述べ、まとまった梅雨らしい天候に恵まれない状況が続いており、いつかその帳尻合わせが来ると不安に感じていると話し、そのためにも訓練が重要。本格的な梅雨期となる7月は三条市にとっては緊張しなければならない日々、万が一のときには迅速な対応を願っていると求めた。
また、訓練後のインタビューでは、「多くの皆さんに緊張感を持ってやって頂いたと思っています」と述べたが、その反面、想定の情報訓練では、情報収集や情報伝達の面で課題が見つかったと話した。
市長自身の反省も含めてとし、どこに弱点があるのか訓練の中で見つけることができた。毎年、同じような訓練にみえても、担当者が変わっているので、繰り返しやっていくことが大切とあらためて感じたと話していた。
(坂井)